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愛を誓う日
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「・・・助かった、、、、!?」
日常よ、さようなら。
また呼ばれて、こんにちは異世界。
二度目の聖女召喚は純白のウェディングドレス姿で登場しました。
一度目に比べたらかなりマシだよね?
そして冒頭の言葉の意味は、といえば、、、。
私、栗栖 紗夜は再び異世界に召喚された時、教会で誓いの言葉を言う寸前だったのだ。
それなのに異世界に召喚されて何故、助かった、と呟いてしまったのか?
私は本当にこのまま結婚してしまって良いのか、とずっと悩んでいたからだ。
それこそ父とバージンロードを歩いている最中も。
マリッジブルー?
残念ながら、そんな可愛らしいものじゃない。
挙式の一週間前、私の伴侶となる予定の婚約者の浮気が発覚したのだ。
しかも浮気相手は私の親友だった。
「ごめんっ!二人で飲んでいて気付いたらホテルにいて、それで、、、。
でも、紗夜だけを愛しているんだ。
これから一生をかけて紗夜に償っていくから別れないでくれ!」
婚約者はそう言って私の前で土下座までして謝った。
浮気がどうして発覚したか、って?
それは勿論、親友からのタレコミだ。
罪悪感からの暴露じゃない。態と、だ。
それはもう謝罪という名目でやって来て、聞きたくも無い話をたっぷりしてくれて、結局、見せかけの謝罪一割、自慢九割だったと思う。
本当に誰が他人のイタしている時の話を聞きたいと思う?
しかも自分の婚約者との話を。
これがまだ恋人という関係だけだったなら速攻別れてた。
右ストレートパンチをお見舞いした後にね。
だけど挙式一週間前の浮気発覚に流石に躊躇した。婚約者への気持ちもあったけれどそれはまぁ五割ぐらいは半減している。
何しろ間違いを犯しやすい状況を作って、まんまとハニトラに引っかかったのだから。
だって何で婚約者の親友と二人きりで飲みに行くの?
気づいたらホテルに居たって、回れ右して帰れば良くない?
まぁ、つまりは下心があったんだよ。
それを裏付ける様に元親友に
『結婚してからも二人きりで会おうよ。』
なんてメッセージを送っていたからね。そのメッセージも元親友が嬉しそうに見せてくれたよ、馬鹿な婚約者め!
私って男を見る目だけじゃなくて、根本的に人を見る目が無かったんだなぁって、親友と婚約者に裏切られたショックよりもそっちの方がショックだったよ。
だけどさ、挙式一週間前で結婚を取り止めるという決断をするのは、中々勇気がいる事じゃない?
五割に減ったけれどまだ婚約者に対して想いはあるし、家族や招待客だけじゃなくて私が結婚をする事を知っている知人友人は多い。
しかも残念な事に私たちは社内恋愛だった。
挙式を取り止めるのは手続きとお金関係だけだから比較的簡単だ。だけど破談になった事を招待した人たちに報告する事がどれだけ心の負担になるかを考えると、浮気に目を瞑って結婚した方が良いんじゃないだろうか、とそう思ってしまったのだ。
破談後に同僚に憐れみの目を向けられて働き続けるのも辛い。
だけどこのご時世、勢いで会社を辞めて次を見つけるのが難しいのは、過去の就活を思い出してみても分かりきっている。
だから別れたくない三割、諸々の面倒が七割で私は彼を許した。
破談を考えていただけで彼への気持ちが更に二割減ってしまった。
そう、だから私はバージンロードを歩いていてもまだ迷っていたのだ。
結婚前に相手に対して三割の気持ちしか残っていない。結婚後には必ず更に減る!
そう確信しているのに結婚して良いものだろうか?
呑気に私に微笑んでいる幸せな新郎を気取っている婚約者の何と憎らしい事か!
そんな事ばかりを考えている私は、ほんの少し神父からの問いかけに返事が遅れた。神父の生暖かい視線に
違うからっ!緊張したとかじゃないから!
と思いつつ、私は観念して口を開いた。
「誓いま、、、、。」
そう言い掛けた瞬間に足元がパァっと光り輝いた。
驚いた神父の顔と背後から聞こえる騒めき、隣で早々に腰を抜かしている婚約者を見ながら浮かぶ円陣に見覚えがある気がした。
これって魔法陣?
そう思った瞬間に更に強く光る足元にフラリと体が揺れた。
瞑っていた目を開けるとそこは教会とは全く違う場所で、そこが何処かと考えるよりも先に私は安堵してしまったのだ。
彼と結婚しなくて済んだんだ、と。
そう思ってしまうなら、やっぱり面倒でもさっさと破談にしておけば良かったよね。
無駄に悩んだ一週間だった、、、、気がするよ。
日常よ、さようなら。
また呼ばれて、こんにちは異世界。
二度目の聖女召喚は純白のウェディングドレス姿で登場しました。
一度目に比べたらかなりマシだよね?
そして冒頭の言葉の意味は、といえば、、、。
私、栗栖 紗夜は再び異世界に召喚された時、教会で誓いの言葉を言う寸前だったのだ。
それなのに異世界に召喚されて何故、助かった、と呟いてしまったのか?
私は本当にこのまま結婚してしまって良いのか、とずっと悩んでいたからだ。
それこそ父とバージンロードを歩いている最中も。
マリッジブルー?
残念ながら、そんな可愛らしいものじゃない。
挙式の一週間前、私の伴侶となる予定の婚約者の浮気が発覚したのだ。
しかも浮気相手は私の親友だった。
「ごめんっ!二人で飲んでいて気付いたらホテルにいて、それで、、、。
でも、紗夜だけを愛しているんだ。
これから一生をかけて紗夜に償っていくから別れないでくれ!」
婚約者はそう言って私の前で土下座までして謝った。
浮気がどうして発覚したか、って?
それは勿論、親友からのタレコミだ。
罪悪感からの暴露じゃない。態と、だ。
それはもう謝罪という名目でやって来て、聞きたくも無い話をたっぷりしてくれて、結局、見せかけの謝罪一割、自慢九割だったと思う。
本当に誰が他人のイタしている時の話を聞きたいと思う?
しかも自分の婚約者との話を。
これがまだ恋人という関係だけだったなら速攻別れてた。
右ストレートパンチをお見舞いした後にね。
だけど挙式一週間前の浮気発覚に流石に躊躇した。婚約者への気持ちもあったけれどそれはまぁ五割ぐらいは半減している。
何しろ間違いを犯しやすい状況を作って、まんまとハニトラに引っかかったのだから。
だって何で婚約者の親友と二人きりで飲みに行くの?
気づいたらホテルに居たって、回れ右して帰れば良くない?
まぁ、つまりは下心があったんだよ。
それを裏付ける様に元親友に
『結婚してからも二人きりで会おうよ。』
なんてメッセージを送っていたからね。そのメッセージも元親友が嬉しそうに見せてくれたよ、馬鹿な婚約者め!
私って男を見る目だけじゃなくて、根本的に人を見る目が無かったんだなぁって、親友と婚約者に裏切られたショックよりもそっちの方がショックだったよ。
だけどさ、挙式一週間前で結婚を取り止めるという決断をするのは、中々勇気がいる事じゃない?
五割に減ったけれどまだ婚約者に対して想いはあるし、家族や招待客だけじゃなくて私が結婚をする事を知っている知人友人は多い。
しかも残念な事に私たちは社内恋愛だった。
挙式を取り止めるのは手続きとお金関係だけだから比較的簡単だ。だけど破談になった事を招待した人たちに報告する事がどれだけ心の負担になるかを考えると、浮気に目を瞑って結婚した方が良いんじゃないだろうか、とそう思ってしまったのだ。
破談後に同僚に憐れみの目を向けられて働き続けるのも辛い。
だけどこのご時世、勢いで会社を辞めて次を見つけるのが難しいのは、過去の就活を思い出してみても分かりきっている。
だから別れたくない三割、諸々の面倒が七割で私は彼を許した。
破談を考えていただけで彼への気持ちが更に二割減ってしまった。
そう、だから私はバージンロードを歩いていてもまだ迷っていたのだ。
結婚前に相手に対して三割の気持ちしか残っていない。結婚後には必ず更に減る!
そう確信しているのに結婚して良いものだろうか?
呑気に私に微笑んでいる幸せな新郎を気取っている婚約者の何と憎らしい事か!
そんな事ばかりを考えている私は、ほんの少し神父からの問いかけに返事が遅れた。神父の生暖かい視線に
違うからっ!緊張したとかじゃないから!
と思いつつ、私は観念して口を開いた。
「誓いま、、、、。」
そう言い掛けた瞬間に足元がパァっと光り輝いた。
驚いた神父の顔と背後から聞こえる騒めき、隣で早々に腰を抜かしている婚約者を見ながら浮かぶ円陣に見覚えがある気がした。
これって魔法陣?
そう思った瞬間に更に強く光る足元にフラリと体が揺れた。
瞑っていた目を開けるとそこは教会とは全く違う場所で、そこが何処かと考えるよりも先に私は安堵してしまったのだ。
彼と結婚しなくて済んだんだ、と。
そう思ってしまうなら、やっぱり面倒でもさっさと破談にしておけば良かったよね。
無駄に悩んだ一週間だった、、、、気がするよ。
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