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プロローグ
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私は聖女として異世界に召喚された事がある。
と、言ったらどれぐらいの人が信じてくれるだろうか?
正解は、、、、
誰も信じてはくれなかった。
親友と呼べるような友達も仲の良い姉妹も、そして両親さえも
『なんだ、紗夜は将来は小説家になりたかったのか?』
なんて言って笑っただけだった。
聖女として異世界で過ごした期間はたったの一年。
それでも色々な事があった。
聖女として穢れを祓う旅をして恋もした。
それは私にとっては初恋で、その国の第二王子だという二十二歳の彼は、私をそれは大事に、そして一人の女性として扱ってくれた。
私を召喚した時から自分の事よりも私を優先し気遣ってくれて、旅に出て半年経つ頃に彼から告白された。
「サーヤ、聖女として穢れを祓う旅の途中で不謹慎ではあるが、私は君への気持ちをもう抑える事が出来ない。
旅に同行する者として、この国の王子として、まだ他の者に明かす事は出来ないが、どうか私の気持ちを受け入れてはくれないだろうか。」
そう言った王子の碧い瞳は真っ直ぐ私に向けられていて、その瞳には驚いた表情の私が映っていた。
勿論、答えはYES、だった。
だって私は出会った瞬間に一目惚れに近い感情を持っていたし、元の世界の旅行手段とは違う慣れない旅の道中に、戸惑いと身体的苦痛を感じる私を王子という立場の彼は甲斐甲斐しく世話してくれた。
その事に嬉しさと感謝の気持ちを、そして私を励まそうと浮かべるその笑顔に恋をした。
まだ十四歳の子どもの私を気遣って、私たちは一年経った頃でも口への軽いキス止まりという健全な恋人関係だった。
全ての穢れを祓い、穢れの原因となった瘴気溜まりを、神殿で祈祷した水晶に封じ込める事に成功した時に彼は言ってくれた。
「サーヤ、聖女として力を尽くしこの国を救ってくれてありがとう!
これから王都に戻るが君はまだ十五歳だ。成人の儀を行うまであと一年ある。
一年経ったら私と結婚してくれないか?」
そう言った彼の言葉に私は嬉し涙を流し迷う事なくプロポーズを受けた。帰りの道中は本当に幸せだった。
聖女として突然召喚され、この国を救うという重圧に耐えて役目を果たし、その使命からやっと解放された。
そして今はただ彼に愛される私はなんて幸せなのだろう。
王子からの愛を実感し王都まであと一歩、という地にある神殿で一晩を過ごす事になった。
神殿がひっそりと静まりかえった深夜、魔術師たちを従えて私の眠る部屋へと彼はやって来た。
「この瘴気溜まりを封印した水晶を王都に持ち込む事は出来ない。けれどこのままこの水晶をこの国で保管しておくのも危険だ。
サーヤの住む世界では魔素も魔法も無い世界だと言ったな。
サーヤ、この瘴気を吸い込んで黒くなった水晶を元の世界へ持って行ってくれないか?
勿論、再び君をこの国へ召喚するつもりでいるよ。
ただ、君を戻すのに魔術師たちの力を限界ギリギリまで使用する事になる。
だから君を呼び戻すのに数ヶ月は掛かるだろうが私を信じて待っていて欲しい。」
魔術師たちが魔法陣の準備をしている間に彼は私にそう言った。
人の言葉を疑うという事を知らなかった子どもの私は、事前に何の話も無い上に深夜にやって来た理由を考えもせずに素直に信じた。
それにちょっとだけ、もう一度だけ、家族や友達に会いたいと思っていたのだ。
会って皆にお別れの挨拶をして、それから異世界に戻って王子様のお嫁さんになる!
こうして彼の言葉を何の疑いもせず、私は元の世界に戻る事となった。
元の世界に戻る前、恋人との別れは軽いハグだった。私たちの関係はまだ誰も知らないし、幼い私はすぐに会えるのだから、と特に疑問に思う事は無かった。
「サーヤ、魔術師たちの力が戻り次第、君をすぐに呼び戻すから待っていておくれ。」
彼は私の耳元でそう言って真っ黒に染まった水晶を私に手渡し、満面の笑みで私を元の世界へと送り出した。
・・・・・それから十年。
割と早い段階で、私は彼の言動に疑問を持った。
少しの間とはいえ、満面の笑みで恋人の私を元の世界へ戻すっておかしくない?
ちょっとは悲しい顔や不安そうな顔をするもんじゃないのかな?
それに、、、。
それにさ?
瘴気を溜め込んだ真っ黒な水晶を元の世界に捨ててこいって、それって不法投棄なんじゃないの?
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
と、言ったらどれぐらいの人が信じてくれるだろうか?
正解は、、、、
誰も信じてはくれなかった。
親友と呼べるような友達も仲の良い姉妹も、そして両親さえも
『なんだ、紗夜は将来は小説家になりたかったのか?』
なんて言って笑っただけだった。
聖女として異世界で過ごした期間はたったの一年。
それでも色々な事があった。
聖女として穢れを祓う旅をして恋もした。
それは私にとっては初恋で、その国の第二王子だという二十二歳の彼は、私をそれは大事に、そして一人の女性として扱ってくれた。
私を召喚した時から自分の事よりも私を優先し気遣ってくれて、旅に出て半年経つ頃に彼から告白された。
「サーヤ、聖女として穢れを祓う旅の途中で不謹慎ではあるが、私は君への気持ちをもう抑える事が出来ない。
旅に同行する者として、この国の王子として、まだ他の者に明かす事は出来ないが、どうか私の気持ちを受け入れてはくれないだろうか。」
そう言った王子の碧い瞳は真っ直ぐ私に向けられていて、その瞳には驚いた表情の私が映っていた。
勿論、答えはYES、だった。
だって私は出会った瞬間に一目惚れに近い感情を持っていたし、元の世界の旅行手段とは違う慣れない旅の道中に、戸惑いと身体的苦痛を感じる私を王子という立場の彼は甲斐甲斐しく世話してくれた。
その事に嬉しさと感謝の気持ちを、そして私を励まそうと浮かべるその笑顔に恋をした。
まだ十四歳の子どもの私を気遣って、私たちは一年経った頃でも口への軽いキス止まりという健全な恋人関係だった。
全ての穢れを祓い、穢れの原因となった瘴気溜まりを、神殿で祈祷した水晶に封じ込める事に成功した時に彼は言ってくれた。
「サーヤ、聖女として力を尽くしこの国を救ってくれてありがとう!
これから王都に戻るが君はまだ十五歳だ。成人の儀を行うまであと一年ある。
一年経ったら私と結婚してくれないか?」
そう言った彼の言葉に私は嬉し涙を流し迷う事なくプロポーズを受けた。帰りの道中は本当に幸せだった。
聖女として突然召喚され、この国を救うという重圧に耐えて役目を果たし、その使命からやっと解放された。
そして今はただ彼に愛される私はなんて幸せなのだろう。
王子からの愛を実感し王都まであと一歩、という地にある神殿で一晩を過ごす事になった。
神殿がひっそりと静まりかえった深夜、魔術師たちを従えて私の眠る部屋へと彼はやって来た。
「この瘴気溜まりを封印した水晶を王都に持ち込む事は出来ない。けれどこのままこの水晶をこの国で保管しておくのも危険だ。
サーヤの住む世界では魔素も魔法も無い世界だと言ったな。
サーヤ、この瘴気を吸い込んで黒くなった水晶を元の世界へ持って行ってくれないか?
勿論、再び君をこの国へ召喚するつもりでいるよ。
ただ、君を戻すのに魔術師たちの力を限界ギリギリまで使用する事になる。
だから君を呼び戻すのに数ヶ月は掛かるだろうが私を信じて待っていて欲しい。」
魔術師たちが魔法陣の準備をしている間に彼は私にそう言った。
人の言葉を疑うという事を知らなかった子どもの私は、事前に何の話も無い上に深夜にやって来た理由を考えもせずに素直に信じた。
それにちょっとだけ、もう一度だけ、家族や友達に会いたいと思っていたのだ。
会って皆にお別れの挨拶をして、それから異世界に戻って王子様のお嫁さんになる!
こうして彼の言葉を何の疑いもせず、私は元の世界に戻る事となった。
元の世界に戻る前、恋人との別れは軽いハグだった。私たちの関係はまだ誰も知らないし、幼い私はすぐに会えるのだから、と特に疑問に思う事は無かった。
「サーヤ、魔術師たちの力が戻り次第、君をすぐに呼び戻すから待っていておくれ。」
彼は私の耳元でそう言って真っ黒に染まった水晶を私に手渡し、満面の笑みで私を元の世界へと送り出した。
・・・・・それから十年。
割と早い段階で、私は彼の言動に疑問を持った。
少しの間とはいえ、満面の笑みで恋人の私を元の世界へ戻すっておかしくない?
ちょっとは悲しい顔や不安そうな顔をするもんじゃないのかな?
それに、、、。
それにさ?
瘴気を溜め込んだ真っ黒な水晶を元の世界に捨ててこいって、それって不法投棄なんじゃないの?
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ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
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