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第25話 世界樹探索-1
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世界樹の中に入り込んだ俺とロボだが、世界樹の仲は予想以上に広い空間が広がっていた。
「普通に迷路だけど、穴がでかすぎて妙に解放的だな。てか普通に外見えるし」
“なんかすごい世界樹っぽい”
“中歩けるってすげえな”
“何年かけて今の形になったんだろうな”
“でけえー”
世界樹内部は暗くないかと心配していたが、むしろ外よりも明るいほどだ。その理由は、あちこちに生えている植物の葉と苔である。何か特殊な木の葉なのか、光を放って周囲を照らしている葉っぱや苔があちこちにあるのだ。それのおかげで、全体的に世界樹の中は、日光ではないが明るい空間になっている。
加えて、時々普通に木の実がなってたりする。これはモンスターも住み着くわけだ。
「けどやっぱ、これ一種類の木じゃないな。複数の木が合体してできてるわ」
そこかしこに見える植物の葉などが、明らかに別種であることを示している。いや、あるいはそういう植物なのか? 地上ではあり得ない、複数の植物の特徴を併せ持つ1つの植物。異なる植物群による群体生物と言えるのかもしれない。
「……核があるか?」
“核?”
“コアみたいなのがこの木にあるってことか?”
“そっちの世界だとそういうのはよくあるの?”
「そこまでたくさんってわけではないけどあるぞ。そもそもこっちは物理法則と並んで魔力っぽいエネルギー的な何かが世界の形決めてるから、例えば島がまるごと空中に浮いてるとか溶岩のあるエリアの隣が極寒地帯になってたりみたいな、それこそ物理法則とか生態系的になんかおかしなことがあったら、『あー魔力が何かやってんだな』ってなるわけよ」
基本的にバカでかいものには何かしらそれを維持している核のようなものがある、と考えておかしくないのが、このダンジョンの先にあるファンタジーの世界だ。
例えば、温暖な地域に局地的に発生している極寒のエリアには、その中心部に何かのオーパーツ的な装置があったり、あるいは局所的に生態系がバラバラでごちゃごちゃになってるエリアにはとんでもない量のエネルギーの流れ、龍脈が流れていて、その収束地にやばいモンスターがいるとか。
世界の、自然の根幹に物理法則と並んで魔力などがある世界での普通がそれなのだ。魔力などのエネルギーが強いものを中心に世界、自然が構築される。まさしくファンタジーのようなものが存在しているのがこの世界だ。
「だからこの世界樹も、ここだけこれだけ大量の木が集まって巨大に成長してるなら、なんかその核、まあ原因っつってもいいか。その原因があるんじゃないかって思ったわけ。それが何かはしらんけど」
“明確にそのコア的なものがあるかどうかはわかってないの?”
“まあ物理的におかしかったら他の何かが関係してるってなるわな”
“核ってことは、世界樹の中心に巨大な魔石があるとか?”
“もうちょっと詳しく教えてくれ”
かなりこの世界のことをぼかしつつ説明したが、そのせいでわかりづらくなってしまった。だが、あまり今来ていないエリアについて長々と話すつもりはない。全部話し始めるととてつもなく長くなるし。
「ほんっとうに簡単に説明な。それ以上は実際に行くことがあったら説明する」
“ありがとう”
“やったぜ!”
“ネタバレしたくないって言ってたしな”
まあこのあたりが妥協点だろう。概要ぐらいなら、話しても別に良い。
「例えばさっき言った空中に島が浮いてるところだと、その島の底に巨大な魔石みたいなのがくっついてたから、それが島を浮かせてるんだろうと俺は考えてる。他には、巨大なモンスターがエリア一帯の生態系を支配して操作してるようなところもあった」
ちなみに魔石というのは、地上には無い、ダンジョン産で魔力を含んでいる石や鉱石全般のことを指していたり、あるいは魔獣の体内からとれる、魔力が結晶化したようなもののことを指す非常に幅広い言葉である。
まあつまり『なんか魔法が関係しそうな石』だ。
「他にも今言ったような目に見える何かじゃなくても、魔力が濃密に溜まってる場所だったりとかも、そういう異常の原因、核になりうるわな。そんな感じで、何がこの地上の生態系じゃありえないものを引き起こしてるんだろうなっていうのは結構考えてるぞ。探索じゃなくて研究に近い内容じゃないかと思うかもしれんが、核はエリアの中心部にあったりするから探す目標には割と良いんだよ。無作為に歩き回るよりは目標があったほうが色々と動きやすいし」
“特に気にしないでも良いのか?”
“ゲームのダンジョンのゴール的な感じ?”
“ダンジョンのゴールか”
“見つけて良いことはある?”
「ダンジョンのゴールってのは割と近い、か? とりあえず目指しとこってなるけど、道中他のことも色々やるって意味ではそう。見つけて良いことはそれぞれ色々だよ。例えば核が魔石だったらちょっと削って持って帰ろうかなってなるし、逆にモンスターだったら関わって攻撃されるのはまずいから避けようってなる。超濃密な魔力溜まりだと特に何も得られるものはないから一番つまらんかな」
別にその核を見つけたら何がある、とかそういうわけではない。ただシンプルに気になるし、初めて見るエリアを探索する際に一定の目標というのは持っておいたほうが指針などを決めやすく行動がしやすい。俺は何も考えずに探索しているとずーっと同じ場所にいることになってしまうので、『一週間この場所の核を探す』みたいな目標があったほうが、メリハリがついて良いのだ。
「まあぶっちゃけ考えないなら考えないで全然気にしないで良いものだけどな」
“ダンジョンがなぜ出来たのかとかそういうレベルの話だなこれ”
“ゲームの作中には出てこない世界観設定的な”
“じゃあその世界樹だと何が核になってそう?”
「世界樹の核なあ……ぶっちゃけわからん。濃密な魔力溜まりが根の下にある可能性もあるし、後は巨大な魔石とかも全然ありえる。他だと、一種類の植物、世界樹の種的なやつがあって、それがただの植物の種じゃなくて、大量の植物を活性化させてこんな巨大な世界樹を形作らせるような効果を持ってるとかも考えられるな」
実際核みたいなものが見つからないことだって普通にある。そういうファンタジー的な世界だから、魔力とか龍脈の関係で、核が無くても地上ではあり得ないような生態系や地形になっていることだって普通にある。
だが、俺はこの世界を冒険しているのだ。この世界を見て回り、そして知りたい。そこに不思議なものがあったら、程度の差こそあれ知りたいと思うのが人の性だろう。
「おっ」
そんなことを話していると、世界樹に入ってから初めて大型のモンスターを発見した。小型のモンスター、あるいは野生動物レベルのものなら、うさぎとか虫とかは結構見つけているが、それなりの大きさを持つモンスターは初めてだ。
“うわ出た”
“でかくない?”
“ロボと同じぐらいあるぞ”
“戦うの?”
“恐竜、っぽいか?”
「襲ってきたらな」
爬虫類のような鱗と長い毛並みを持ったモンスター。地上の生物で言うなら、イタチなどが一番体型は近いだろうか。ただ顔つきはそれよりは凶暴で、鋭い牙をむき出しにしており、体つきも毛でもこもこのイタチとは違って筋肉バキバキの攻撃的な見た目をしている。四肢の先端にも鋭い爪を持ち、殺傷能力は高そうだ。
『グゥルルルルルル』
「ロボ、落ち着け。お前が暴れたら騒ぎになる」
威嚇してくるモンスターに対して威嚇し返すロボをなだめて、モンスターの方を向き直る。やがてゆっくりと近づいてきたモンスターは、こちらを嗅ぐように鼻を近づけた後、顔を逸して脇を通り抜けていった。
「いかつい顔の割にはおとなしいな」
“いや度胸ありすぎ”
“あそこまで近づかれたら俺なら逃げるか攻撃してしまうわ”
“近づかれるだけで怖いわ”
“強そう?”
「そこそこじゃないか? 魔力はそんな多く無さそうだったし」
実際に戦ってみないと本当の強さはわからないが、一応探索するに当たって俺は複数の保険をかけているので、警戒を厳にしなくてもなんとかなっている。モンスターもおとなしいやつや強いけど積極的に攻撃はしてこないやつとかいるので、出来る限り自分から攻撃を仕掛けないようにしているのだ。
「とりあえず反対に登って行くか」
モンスターの背中を見送った後、俺とロボはモンスターが来た方向へと歩みを進めた。
「普通に迷路だけど、穴がでかすぎて妙に解放的だな。てか普通に外見えるし」
“なんかすごい世界樹っぽい”
“中歩けるってすげえな”
“何年かけて今の形になったんだろうな”
“でけえー”
世界樹内部は暗くないかと心配していたが、むしろ外よりも明るいほどだ。その理由は、あちこちに生えている植物の葉と苔である。何か特殊な木の葉なのか、光を放って周囲を照らしている葉っぱや苔があちこちにあるのだ。それのおかげで、全体的に世界樹の中は、日光ではないが明るい空間になっている。
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「けどやっぱ、これ一種類の木じゃないな。複数の木が合体してできてるわ」
そこかしこに見える植物の葉などが、明らかに別種であることを示している。いや、あるいはそういう植物なのか? 地上ではあり得ない、複数の植物の特徴を併せ持つ1つの植物。異なる植物群による群体生物と言えるのかもしれない。
「……核があるか?」
“核?”
“コアみたいなのがこの木にあるってことか?”
“そっちの世界だとそういうのはよくあるの?”
「そこまでたくさんってわけではないけどあるぞ。そもそもこっちは物理法則と並んで魔力っぽいエネルギー的な何かが世界の形決めてるから、例えば島がまるごと空中に浮いてるとか溶岩のあるエリアの隣が極寒地帯になってたりみたいな、それこそ物理法則とか生態系的になんかおかしなことがあったら、『あー魔力が何かやってんだな』ってなるわけよ」
基本的にバカでかいものには何かしらそれを維持している核のようなものがある、と考えておかしくないのが、このダンジョンの先にあるファンタジーの世界だ。
例えば、温暖な地域に局地的に発生している極寒のエリアには、その中心部に何かのオーパーツ的な装置があったり、あるいは局所的に生態系がバラバラでごちゃごちゃになってるエリアにはとんでもない量のエネルギーの流れ、龍脈が流れていて、その収束地にやばいモンスターがいるとか。
世界の、自然の根幹に物理法則と並んで魔力などがある世界での普通がそれなのだ。魔力などのエネルギーが強いものを中心に世界、自然が構築される。まさしくファンタジーのようなものが存在しているのがこの世界だ。
「だからこの世界樹も、ここだけこれだけ大量の木が集まって巨大に成長してるなら、なんかその核、まあ原因っつってもいいか。その原因があるんじゃないかって思ったわけ。それが何かはしらんけど」
“明確にそのコア的なものがあるかどうかはわかってないの?”
“まあ物理的におかしかったら他の何かが関係してるってなるわな”
“核ってことは、世界樹の中心に巨大な魔石があるとか?”
“もうちょっと詳しく教えてくれ”
かなりこの世界のことをぼかしつつ説明したが、そのせいでわかりづらくなってしまった。だが、あまり今来ていないエリアについて長々と話すつもりはない。全部話し始めるととてつもなく長くなるし。
「ほんっとうに簡単に説明な。それ以上は実際に行くことがあったら説明する」
“ありがとう”
“やったぜ!”
“ネタバレしたくないって言ってたしな”
まあこのあたりが妥協点だろう。概要ぐらいなら、話しても別に良い。
「例えばさっき言った空中に島が浮いてるところだと、その島の底に巨大な魔石みたいなのがくっついてたから、それが島を浮かせてるんだろうと俺は考えてる。他には、巨大なモンスターがエリア一帯の生態系を支配して操作してるようなところもあった」
ちなみに魔石というのは、地上には無い、ダンジョン産で魔力を含んでいる石や鉱石全般のことを指していたり、あるいは魔獣の体内からとれる、魔力が結晶化したようなもののことを指す非常に幅広い言葉である。
まあつまり『なんか魔法が関係しそうな石』だ。
「他にも今言ったような目に見える何かじゃなくても、魔力が濃密に溜まってる場所だったりとかも、そういう異常の原因、核になりうるわな。そんな感じで、何がこの地上の生態系じゃありえないものを引き起こしてるんだろうなっていうのは結構考えてるぞ。探索じゃなくて研究に近い内容じゃないかと思うかもしれんが、核はエリアの中心部にあったりするから探す目標には割と良いんだよ。無作為に歩き回るよりは目標があったほうが色々と動きやすいし」
“特に気にしないでも良いのか?”
“ゲームのダンジョンのゴール的な感じ?”
“ダンジョンのゴールか”
“見つけて良いことはある?”
「ダンジョンのゴールってのは割と近い、か? とりあえず目指しとこってなるけど、道中他のことも色々やるって意味ではそう。見つけて良いことはそれぞれ色々だよ。例えば核が魔石だったらちょっと削って持って帰ろうかなってなるし、逆にモンスターだったら関わって攻撃されるのはまずいから避けようってなる。超濃密な魔力溜まりだと特に何も得られるものはないから一番つまらんかな」
別にその核を見つけたら何がある、とかそういうわけではない。ただシンプルに気になるし、初めて見るエリアを探索する際に一定の目標というのは持っておいたほうが指針などを決めやすく行動がしやすい。俺は何も考えずに探索しているとずーっと同じ場所にいることになってしまうので、『一週間この場所の核を探す』みたいな目標があったほうが、メリハリがついて良いのだ。
「まあぶっちゃけ考えないなら考えないで全然気にしないで良いものだけどな」
“ダンジョンがなぜ出来たのかとかそういうレベルの話だなこれ”
“ゲームの作中には出てこない世界観設定的な”
“じゃあその世界樹だと何が核になってそう?”
「世界樹の核なあ……ぶっちゃけわからん。濃密な魔力溜まりが根の下にある可能性もあるし、後は巨大な魔石とかも全然ありえる。他だと、一種類の植物、世界樹の種的なやつがあって、それがただの植物の種じゃなくて、大量の植物を活性化させてこんな巨大な世界樹を形作らせるような効果を持ってるとかも考えられるな」
実際核みたいなものが見つからないことだって普通にある。そういうファンタジー的な世界だから、魔力とか龍脈の関係で、核が無くても地上ではあり得ないような生態系や地形になっていることだって普通にある。
だが、俺はこの世界を冒険しているのだ。この世界を見て回り、そして知りたい。そこに不思議なものがあったら、程度の差こそあれ知りたいと思うのが人の性だろう。
「おっ」
そんなことを話していると、世界樹に入ってから初めて大型のモンスターを発見した。小型のモンスター、あるいは野生動物レベルのものなら、うさぎとか虫とかは結構見つけているが、それなりの大きさを持つモンスターは初めてだ。
“うわ出た”
“でかくない?”
“ロボと同じぐらいあるぞ”
“戦うの?”
“恐竜、っぽいか?”
「襲ってきたらな」
爬虫類のような鱗と長い毛並みを持ったモンスター。地上の生物で言うなら、イタチなどが一番体型は近いだろうか。ただ顔つきはそれよりは凶暴で、鋭い牙をむき出しにしており、体つきも毛でもこもこのイタチとは違って筋肉バキバキの攻撃的な見た目をしている。四肢の先端にも鋭い爪を持ち、殺傷能力は高そうだ。
『グゥルルルルルル』
「ロボ、落ち着け。お前が暴れたら騒ぎになる」
威嚇してくるモンスターに対して威嚇し返すロボをなだめて、モンスターの方を向き直る。やがてゆっくりと近づいてきたモンスターは、こちらを嗅ぐように鼻を近づけた後、顔を逸して脇を通り抜けていった。
「いかつい顔の割にはおとなしいな」
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“あそこまで近づかれたら俺なら逃げるか攻撃してしまうわ”
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──【いずれ配信要素あり】死んで覚える異世界探索~幾度倒れても目指す道は最強のみ~https://www.alphapolis.co.jp/novel/444931402/316872226作者の別小説です。こちらはアルファポリスで書籍化にチャレンジしてみようと思って出しております。序盤数話一気に投稿していますので、是非読んでみてください。
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