ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話

天野 星屑

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第18話 武器のお話

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 “質問答えるってまじ?”
 “なんでも良いの?”
 “聞きたいこと山程あるぞ”
 “聞きたいこと聞いて良いんですか!!” 

 うどんを寝かせている間質問会でもするか。そう言った瞬間にコメント欄が活性化した。というか、俺の配信を見てる人たち本当に真剣に見てくれているんだな。10人そこらでここまでコメント途切れないとは思わなかった。

「おおう……まあ、真面目な話、俺の側から何を話せば良いかわからんのよな。特に雑談とか。普段の生活垂れ流しのときはもう話さないで良いかって思ってるし。作業しながら一人ごとってのも妙に虚しくてな……。読み上げ用のボイロ? みたいなの無かったっけ」

 “そもそも需要がわからんか?”
 “ダンジョン配信でボイロは無いわ”
 “話したいこととか無い感じか”
 “まあ地上の配信者とかVtuberもマシュマロとかで話題募集してそこから広げるもんな”

「そう! そのマシュマロってやつ。地上出たときに調べて出てきてさ。それって使えないの?」

 “使えない”
 “ダンジョン内は配信しか繋がらんぞ”
 “あれはWeTubeとは別”
 “無理”

 無理らしい。良く考えれば、そういうのも全てそれぞれ別のサイトになっているので、ダンジョン内では通信が繋がらないので、例え俺がアカウントを作っていたとしても、俺がダンジョン内からそれを閲覧するのは無理なのだ。

「あー、そうね。てことはコメント欄でやるしかないか。うん。じゃあ何か話題出して。そこから話広げてみるから」

 雑談をしながらも、手では叩き切ってきた丸太を斧でスコンスコン割っている。この世界の木が地上の木よりも硬いとはいえ、俺のレベルと武器であれば剣でも普通に切れる。あえて斧を使っているのは、『薪割りは斧』という俺のイメージがあるからだ。木を倒すのも基本斧で頑張っているし、特に意味は無いこだわりである。

 “どうやって強くなったか”
 “いつも使ってる武器。剣携帯してないよな?”
 “何のスキル持ってるか。主力だけでも”
 “ガチの時の戦闘スタイルを詳細に聞きたい”
 “そもそもどこまで聞いていいの?”
 “苦労したモンスターは?”
 “狩りの効率が良かった場所とかあった?”
 “ダンジョン内での思い出”
 
 なるほど。やはりダンジョンの先まで進んでいる俺の戦い方であったり、ダンジョンの未踏地域についての話を聞きたい人が多いのか。まあ需要はそこになるよな。

「なるほど……そうだなあ。じゃあ取り敢えず、いつも使ってる武器からちょっとダンジョン関係の話にしようか」

 どの話も話そうと思えば俺はそれなりに秘密、というか地上の彼らが知らない情報を抱えている。それだけ彼らより高密度で長い時間、探索を行っているのだ。それをいきなりぶつけると衝撃が大きい。まずは、簡単なところからジャブを入れていこう。

「まず、普段遣いの剣、というか武器全般はこれだな」

 斧を木の台に突き刺し、ドローンの前に右腕につけているブレスレットをかざす。材質はおそらく金属、あるいはそれクラスに硬質なモンスターの骨で、暗い青の下地の上に、鈍く金色に輝く金属で丸みを帯びた紋様が精緻に描かれている。俺は鑑定眼スキルを持っていないので材質などはわからないのだ。

 大きさは手首から幅は3センチほど。手首の内側は紐で細かく編み込まれており、その中央部分に緑色の宝石が一つ、そして表側の硬質な部分には、手首の内側よりは大きな石が赤、黃、青の順で並んでいる。

「これが相当便利なアイテムでな。こんな感じで魔力を流すと──」

 見えるように色をまとわせた魔力をブレスレットに流す。すると、そのブレスレットから溢れ出した俺とは別の魔力が、目の前に一本の剣を生成した。材質は金属、剣身は鋼色。装飾は最低限で、されど切れ味は鋭く連戦にも耐える。魔力の伝導率も良く、一時的に高性能な魔剣として扱える性能の幅広さが魅力だ。何より、魔力に一度戻せば自然と回復が行われるので、実質手入れ無しで使い続けることが出来る。

「このアイテム自体がある種のマジックバッグ……地上にも内部が拡張されたバッグってあるよな?」

 “中層ぐらいからのレアアイテム”
 “結構レア”
 “高いなー”
 “俺もほしい”
 
「あるな。まあそれに近い機能をしてるんだと思う。この剣一本だけじゃなくて……こんな感じで」

 片手剣を地面に突き刺し、続いてバスタードソード、レイピア、クレイモア、そして人が扱うには巨大すぎる刃を持つ大剣に小さなナイフなど、各種剣を同じように並べる。ちなみにこのアイテムは西洋系なのか、刀やシャムシールなどは入っていなかった。剣は全て直刃のものばかりだ。

 他にも片手斧に両手斧、槍、ハルバード、ロングボウと矢、矢筒、バックラーやカイトシールド、タワーシールドなど、大量の武器を地面に並べる。

「これで全部かな。剣自体の性能も良いし魔力の伝導率も耐性も高いし、取り敢えずこれ持っておけば困らないぐらいに思って使ってる。後は損傷しても魔力に戻してブレスレットに戻せば時間経過で回復するしね」

 “めちゃくちゃファンタジーでワロタ”
 “こういうのを求めてた”
 “俺もそれほしい!!”
 “シンプルにかっこいい”
 “武器大量に携帯出来るってめっちゃ良いな?”

「あ、わかる。深層までってさ、なんかファンタジー感がちょっと薄いよね。武器もモンスターの素材とかは使えるけど魔剣的なの無いし」

 “魔剣!?”
 “あるのそんなの!?”
 “見たい見たい!”
 “魔剣って、あの魔法がかかった剣的な?”

 おっと、口が滑ったらしい。まあ次はそれについて説明するつもりだったので、一緒に説明してしまおう。

「あるよ。深層より先になるのかな。時々宝箱からエンチャント、付与魔法がかかった武器が出てくるようになるんよ。まあ俺は鑑定眼持ってないから詳細は見れないからあれだけど、使ってるとき体軽いなとか剣の威力が出るなってのが出てくる。後は持ってるだけで魔力のリジェネ、継続回復とかもあるな。というか効果はホントに様々って感じだ。上の方だと割と誤差レベルというか、あってもなくてもレベルのばっかだけど、下になると性能も結構飛び抜けたのがチラホラ出てくる。ちょっと待ってな。てかドローンついてこい」

 一旦並べた武器を全てブレスレットに戻し、普段過ごしている部屋の隣の武器置き場に入る。ここは、主に武器、防具ばかりを並べるために作った部屋だ。最初の建物から増築しているので少し不格好になっているし、地下室も掘っているので立てるのには苦労した。

「例えば……これとかかなりエグい性能してるはず」

 ドローンに伝えつつ取り上げるのは、一本の片手剣。柄には羽根の印章があり、鍔の両端は羽根のような形になている。そして装飾同様に羽根のように軽い剣は、されで手によく馴染む。

「こいつは持った時の体感がびっくりするぐらい軽くてな。ああ、ダンジョン下の層に行くほど探索者のレベルが上がって身体能力が高くなるからか、基本の武器も重たくなっていくんだけど、その中で飛び抜けてこいつは軽い、ってか軽く感じる。地上にいてまだレベル低い時に持った竹刀よりも全然軽いな」
 
 “軽い剣……いる?”
 “威力でなそう”
 “重さも大事だというのは身にしみた”
 “最近剣振ってるから重さ無いと物足りない”

「ふっふっふ、と、思うだろ? こいつ、持ち主からは軽く感じられるのに、相手には普通の同じ大きさの剣の10倍以上に感じられるんだよ。なんか物理法則考えたら頭おかしくなりそうだけど魔法って割とそんなもんだしな」

 “なんて?”
 “とんでもない性能じゃないかそれ”
 “いや普通にやべーだろ”
 “竹刀より軽いの振り回して相手に当たったら大剣振り下ろしたみたいなダメージ入んの?”
 
 俺もこの剣は結構やばいと思っている。俺の持つ武器の中で、切り札ほどではないがかなり高性能な武器の一つだ。ただ切れ味などは良くも悪くも普通なので、硬い相手だと鈍器で殴ってるみたいになるのが欠点だが。加えて魔力伝導率もあまり高くなく、魔力による強化が微妙というのもちょっとした難点である。総じて、まじで対人向けだ。

 その剣を鞘にしまい、木で出来た剣掛けに戻す。さて、まだまだ紹介しておきたい魔剣の種類はある。

「他にも色々あるけど……見た目的に魔剣ってのはこれと、あとはこいつかな。ああ、それとこれもか。ちょっと危ないから外出るよ」
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──【いずれ配信要素あり】死んで覚える異世界探索~幾度倒れても目指す道は最強のみ~https://www.alphapolis.co.jp/novel/444931402/316872226作者の別小説です。こちらはアルファポリスで書籍化にチャレンジしてみようと思って出しております。序盤数話一気に投稿していますので、是非読んでみてください。
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