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第一章
穏やかな日々…?
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執事に案内され、外に出ると、そこにはエドガー父様が既に待っていてくれた。ミカエラは、今回の騒動の主犯であるエドガーの顔を見るなり少し頬を膨らませ、無言で馬車に乗り込む。
エドガーは、ミカエラの急な態度にあたふたし、その様子を横目で見つつ、しばらくの間、ミカエラはエドガーに話しかけられても無視をする。
最後の方は半泣きになって「ミア~」と、気の抜ける声を出してきたので、エドガーの方を見て、ほっぺを軽くつねり、「エドガー父様のせいですよ!」と、少し眉尻を下げ笑う。
エドガーは、何のことか分からないと少しキョトンとしつつ、やっと無視から解放されたことに満面の笑みをこぼす。
しょうがないなぁ…
ミカエラは、少し呆れつつ、その後はエドガーに普通に接してあげることにした。
自宅に帰り、広間にみんな集まっていたので、クラウドから聞いた今回の真相を話す。
エドガーの娘自慢に興味を持った王子がお忍びで観に来たという事実は、親を呆れさせ、エドガーに冷ややかな視線が集まる。
エドガーは少し気まずそうに目を泳がせた後、ぱんっと顔の前に手を合わせ、ミカエラに「ごめん!」と謝る。ミカエラはわざと拗ねた顔をしつつ、「いいよ!」とエドガーの頭を撫でる。
こうして、我が家のお茶会騒動は収束したように見えた。
しかし、騒動は終わらなかった。
なんと王子が頻繁に家に遊びに来るようになってしまったのだ。
母たちも最初は驚き、粗相をしないよう緊張した様子だったが、余りにも頻繁に来る為、これが日常かのように過ごすようになった。
ミカエラも、最初は驚きつつも、毎回くれる手土産の甘いお菓子や、楽しい話ですっかり打ち解けていた。
しかし楽しいばかりではなかった。執事たちがお茶の用意をしてくれたり、護衛の人が側にいるときは普通に仲の良いお友達だが、執事が下がり、護衛の方がドアの外へ向かい、ミカエラと二人きりになるとクラウドは態度をかえ、スキンシップがやたらと増える。
そんなクラウドにミカエラは困惑する。
なんか…近いな…
顔を近づけたり、手を握ったり、おでこをくっつけたり。ミカエラは困惑しつつ、一度距離が近過ぎないか訴えてみたものの、「みんなしてるよ。友達だったら普通のことだよ?」と言われ、
みんなこんな事してるの…?
と、初めて出来たお友達の言うことに渋々納得しつつ、それでも日々増えるスキンシップに一歩下がるとクラウドが小動物のように瞳を潤ませるため、あまり強く言うことが出来なかった。
そんなある日、いつもの様にゲームなどをして遊んでいると、クラウドが、負けた方が相手の言うことを一つ叶えるという罰ゲームをしないかと提案してくる。
最初はミカエラもどんな無理難題を言われるのかと眉間にシワを寄せ、警戒した。
しかし、遊ぶゲームの決定権はミカエラに譲ると言われ、ミカエラは少し気を緩め、今まで勝率の良いゲームを提案すれば良いと了承する。実は警戒心を解く為、今までのゲームはわざとクラウドが手を抜いていたとは知らずに。
ミカエラは、クラウドが負け、「むー…もう一回!」と、お願いする姿が好きだった。最初お互いに提案する罰は、「相手の為にお茶を入れる」「次回ケーキの差し入れをする」「くすぐられる」など、可愛いものばかりだった。
そして、見計らったタイミングで、クラウドはミカエラに勝ち、一つお願いをする。
「今回の罰ゲームは…そうだ!僕にチューがいいな」
ミカエラは目を見開き、ぶんぶんと首を横に振り、嫌だと訴える。しかしクラウドに「罰ゲームだからね。ほっぺでいいよ?」とにこっと笑って目を閉じると、ミカエラは頬を染め、渋々ほっぺにチュッと軽いキスをする。
真っ赤になったミカエラを見つつ、「今はね…」と、小さくクラウドは呟いていたが、ミカエラは気付くことはなかった。
エドガーは、ミカエラの急な態度にあたふたし、その様子を横目で見つつ、しばらくの間、ミカエラはエドガーに話しかけられても無視をする。
最後の方は半泣きになって「ミア~」と、気の抜ける声を出してきたので、エドガーの方を見て、ほっぺを軽くつねり、「エドガー父様のせいですよ!」と、少し眉尻を下げ笑う。
エドガーは、何のことか分からないと少しキョトンとしつつ、やっと無視から解放されたことに満面の笑みをこぼす。
しょうがないなぁ…
ミカエラは、少し呆れつつ、その後はエドガーに普通に接してあげることにした。
自宅に帰り、広間にみんな集まっていたので、クラウドから聞いた今回の真相を話す。
エドガーの娘自慢に興味を持った王子がお忍びで観に来たという事実は、親を呆れさせ、エドガーに冷ややかな視線が集まる。
エドガーは少し気まずそうに目を泳がせた後、ぱんっと顔の前に手を合わせ、ミカエラに「ごめん!」と謝る。ミカエラはわざと拗ねた顔をしつつ、「いいよ!」とエドガーの頭を撫でる。
こうして、我が家のお茶会騒動は収束したように見えた。
しかし、騒動は終わらなかった。
なんと王子が頻繁に家に遊びに来るようになってしまったのだ。
母たちも最初は驚き、粗相をしないよう緊張した様子だったが、余りにも頻繁に来る為、これが日常かのように過ごすようになった。
ミカエラも、最初は驚きつつも、毎回くれる手土産の甘いお菓子や、楽しい話ですっかり打ち解けていた。
しかし楽しいばかりではなかった。執事たちがお茶の用意をしてくれたり、護衛の人が側にいるときは普通に仲の良いお友達だが、執事が下がり、護衛の方がドアの外へ向かい、ミカエラと二人きりになるとクラウドは態度をかえ、スキンシップがやたらと増える。
そんなクラウドにミカエラは困惑する。
なんか…近いな…
顔を近づけたり、手を握ったり、おでこをくっつけたり。ミカエラは困惑しつつ、一度距離が近過ぎないか訴えてみたものの、「みんなしてるよ。友達だったら普通のことだよ?」と言われ、
みんなこんな事してるの…?
と、初めて出来たお友達の言うことに渋々納得しつつ、それでも日々増えるスキンシップに一歩下がるとクラウドが小動物のように瞳を潤ませるため、あまり強く言うことが出来なかった。
そんなある日、いつもの様にゲームなどをして遊んでいると、クラウドが、負けた方が相手の言うことを一つ叶えるという罰ゲームをしないかと提案してくる。
最初はミカエラもどんな無理難題を言われるのかと眉間にシワを寄せ、警戒した。
しかし、遊ぶゲームの決定権はミカエラに譲ると言われ、ミカエラは少し気を緩め、今まで勝率の良いゲームを提案すれば良いと了承する。実は警戒心を解く為、今までのゲームはわざとクラウドが手を抜いていたとは知らずに。
ミカエラは、クラウドが負け、「むー…もう一回!」と、お願いする姿が好きだった。最初お互いに提案する罰は、「相手の為にお茶を入れる」「次回ケーキの差し入れをする」「くすぐられる」など、可愛いものばかりだった。
そして、見計らったタイミングで、クラウドはミカエラに勝ち、一つお願いをする。
「今回の罰ゲームは…そうだ!僕にチューがいいな」
ミカエラは目を見開き、ぶんぶんと首を横に振り、嫌だと訴える。しかしクラウドに「罰ゲームだからね。ほっぺでいいよ?」とにこっと笑って目を閉じると、ミカエラは頬を染め、渋々ほっぺにチュッと軽いキスをする。
真っ赤になったミカエラを見つつ、「今はね…」と、小さくクラウドは呟いていたが、ミカエラは気付くことはなかった。
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