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第一章
誰…?
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「だ…誰…?」
ミカエラは少し目を細め、身構える。
すると、茂みの中からシルバーの髪をなびかせたブラウンの瞳の男の子が現れた。
「あ…ごめん。迷っちゃって…。君は確かランスロット侯爵家の?」
「あ…失礼致しました。私は、ランスロット侯爵家のミカエラと申します。」
慌ててサッとカーテシーをすると、男の子はスッと頭を下げ、「僕はクラウド・ハミルトンです。ランスロット侯爵令嬢はなぜこちらに?」
「えっと…」
ハミルトン?どこかで聞いたような…?
正直に話して良いのかな…。
ミカエラは悩み、少し考え込む。そして、正直に話すことにした。
「実は今日初めてのお茶会だったんです。家族以外の方と会うのが初めてだったのですが、ちょっと圧倒されてしまって、ここで涼んでいたんです。」
少し濁しながら説明すると、クラウドは顎に手を当て、少し考え込む。
「では、もぅ少しこちらにおられますか?でしたら、ここで僕とお話ししませんか?」
柔らかい笑みを浮かべて、ミカエラを見つめる。
1人で寂しくないように、気を…使ってくれてるのかな…。いつまでも男の子が怖いって言ってちゃダメだよね…。
ミカエラは、下を向き、少し考え沈黙した後、顔を上げ、笑みを浮かべながら頷く。
「えぇ。私で宜しければ。」
その笑顔は、不安と、でも嬉しさが入り混じる顔だった。男の子は、その何とも言えない顔に、自分だけに見せる表情に、高揚感を感じつつ、その後はたわいもない話をして、心を落ち着かせる。
ミカエラは、正直最初は不安だったが、彼の話は楽しく、緊張も解れていく。次第に恐怖はなくなり、寧ろ楽しんでいた。
あっという間に時は過ぎ、遠くでミカエラを呼ぶ母と兄の声が聞こえて来る。
そろそろ戻らなきゃ…。
勇気を出して、重い腰をスッと立たせ、クラウドに礼をする。
「楽しい時間をありがとうございました。お陰で心が休まりました。私はそろそろ戻らなくてはいけません。
ハミルトン様は、どうされますか?道に迷われたのでしたら、会場へならばご案内致しますが…。」
すると、最初に見た柔らかい笑みでクラウドは首を振る。
「いぇ、大丈夫です。僕はもう少しだけここで休んでから戻ります。会場へは、貴女が行く道を後で追いかける事にします。」
「かしこまりました。では、失礼致します。」
お辞儀をして、少し緊張しながら会場に戻るミカエラ。
その後ろ姿を見て、先程の柔らかい笑みから黒い笑みに変えた男の子が1人、熱い眼差しでミカエラを見つめる。
「見つけた…僕のカナリア」
ふふっと笑みを浮かべ、空を見上げる。
彼は何を想うのか…
明るかった空は少し赤く、夕日が見え始め、お茶会はお開きとなった。
ミカエラは少し目を細め、身構える。
すると、茂みの中からシルバーの髪をなびかせたブラウンの瞳の男の子が現れた。
「あ…ごめん。迷っちゃって…。君は確かランスロット侯爵家の?」
「あ…失礼致しました。私は、ランスロット侯爵家のミカエラと申します。」
慌ててサッとカーテシーをすると、男の子はスッと頭を下げ、「僕はクラウド・ハミルトンです。ランスロット侯爵令嬢はなぜこちらに?」
「えっと…」
ハミルトン?どこかで聞いたような…?
正直に話して良いのかな…。
ミカエラは悩み、少し考え込む。そして、正直に話すことにした。
「実は今日初めてのお茶会だったんです。家族以外の方と会うのが初めてだったのですが、ちょっと圧倒されてしまって、ここで涼んでいたんです。」
少し濁しながら説明すると、クラウドは顎に手を当て、少し考え込む。
「では、もぅ少しこちらにおられますか?でしたら、ここで僕とお話ししませんか?」
柔らかい笑みを浮かべて、ミカエラを見つめる。
1人で寂しくないように、気を…使ってくれてるのかな…。いつまでも男の子が怖いって言ってちゃダメだよね…。
ミカエラは、下を向き、少し考え沈黙した後、顔を上げ、笑みを浮かべながら頷く。
「えぇ。私で宜しければ。」
その笑顔は、不安と、でも嬉しさが入り混じる顔だった。男の子は、その何とも言えない顔に、自分だけに見せる表情に、高揚感を感じつつ、その後はたわいもない話をして、心を落ち着かせる。
ミカエラは、正直最初は不安だったが、彼の話は楽しく、緊張も解れていく。次第に恐怖はなくなり、寧ろ楽しんでいた。
あっという間に時は過ぎ、遠くでミカエラを呼ぶ母と兄の声が聞こえて来る。
そろそろ戻らなきゃ…。
勇気を出して、重い腰をスッと立たせ、クラウドに礼をする。
「楽しい時間をありがとうございました。お陰で心が休まりました。私はそろそろ戻らなくてはいけません。
ハミルトン様は、どうされますか?道に迷われたのでしたら、会場へならばご案内致しますが…。」
すると、最初に見た柔らかい笑みでクラウドは首を振る。
「いぇ、大丈夫です。僕はもう少しだけここで休んでから戻ります。会場へは、貴女が行く道を後で追いかける事にします。」
「かしこまりました。では、失礼致します。」
お辞儀をして、少し緊張しながら会場に戻るミカエラ。
その後ろ姿を見て、先程の柔らかい笑みから黒い笑みに変えた男の子が1人、熱い眼差しでミカエラを見つめる。
「見つけた…僕のカナリア」
ふふっと笑みを浮かべ、空を見上げる。
彼は何を想うのか…
明るかった空は少し赤く、夕日が見え始め、お茶会はお開きとなった。
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