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第4章 もふもふな幼子たちと子守役は森にお出掛けする

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 幼子たちゆき・かすみ・しずく薄紅色の尻尾幼子たちの同居人、それにみかん色の尻尾巨木の森の毛玉のおやぶんで作るお散歩隊の目的地は、相変わらずお家の樹巨木の森の中心の樹の近くが選ばれていた。
それでも様子を見ながら、お散歩先は少しずつお家の樹からは離れた場所になって行った。
その時々で、近くにいた毛玉小さき者たちが参加することもあって、幼子たちは跳び回ったり美味しい実を探したりと楽しく遊んでいた力と技を鍛えていた
暇を見つけてはお散歩先にやってくる長たちの顔ぶれも段々と増えた。それは、力の制御してうまく使いこなす長が増えた、という事でもあった。
古株の長たちは、特に足繁くやってきて、幼子たちを見守り、時には毛玉たちを交えてのおしゃべりに加わった。
幼子たちが、遊びの中で心身を鍛えるうちに、眠りに必要な時間も、夢で迷子になる前と、変わらないほどになってきた。
 『ふ~む、幼子たちの眠りの時間も、随分と落ち着いてきたようだ。ふむ、これならほかの森他の長たちの森にでも行けるか?』
 『ほほ~っ、それなら一度訪れた森に、再び遊びに行くのが、いいでしょうかの~
その方が、幼子たちゆき・かすみ・しずくの心身への負担も、少ないでしょうかの~』
長たちの相談の結果、幼子たちの他の森への散歩は もう一度九尾の長・たけの森・の長の森を尋ねるところから始まるのだった。
 今度のお散歩は、九尾の長の森だと知って、幼子たちは大喜びだ。久しぶりの遠出でもあるし、何よりあの森の毛玉たちとの再会の約束もあったのだ。
お家の樹巨木の森の中心の樹の前で金目の長たちに見送りされたときには、慣れた風を装って九尾の長の背中に乗った。
 「『『おさんぽ、いってきましゅ~』』」
幼子たちの内心が、ワクワクドキドキなのは、そのブンブン振られる尾っぽを見るまでもなく、長たちには筒抜けだった。
 『ほほ~っ、気をつけて行くのですかの~何かあったら、必ず九尾の長にお話しする約束ですからの~』
とりあえず注意を受けて、幼子たちは九尾の長の森へ出かけた。
 九尾の長の森へ到着すると、幼子たちを出迎えて、毛玉たちが次々と集まってきた。
 『…おさなごたち、げんきそうだニィ』『…よくきた、まってたニィ』『…また、いっしょに、もりへいくニィ』
大歓迎を受けた幼子たちは、大喜びですぐにも森へ遊びに行こうとした。
 「ぴぃ~『ひさしぶり、あそびにきたよ!』」
 「わふっ『・たけ・のめ、いっちょにほる、やくそくだよ!』」
ここまでの移動の疲れを無視して森へ行こうとした幼子たちゆき・かすみ・しずくを、みかん色の尻尾お散歩隊の同行者が止めた。
『…あなたたち、まずはこの森のお家の樹住みやすい巨木から水を貰って、一休みなのね~
ここまで移動して、疲れてるはずなのね~休まないと、すぐに眠くなるなのね~』
 「そーでちた、おさはいっぱいはしって、おちゅかれでちた。のせてきてくれて、ありがとーでしゅ、おみじゅ、どーぞでしゅ~」
しずくが急いで水玉を作って、九尾の長に差し出した。
 『…休まな、いかんのは、ワイやのーて幼子らの方なんやがなぁ。せっかくの心遣いや、ありがたくいただくわ。
うまいなー、幼子らもゆっくり飲んで、まずは此処で、毛玉らとお喋りでもしたらどーや。』
九尾の長の勧めもあって、森の入り口でのんびりとおしゃべりしてから、幼子たちは待望の・たけの芽・を掘りに向かった。
・たけ・の森は、九尾の長の頑張った甲斐もあり、以前と比べると見違えるほどすっきりとしていて、見透しが良かった。
更には、この森の毛玉たちも・たけ・に慣れたのか、手早く・たけ・若芽を見付けて掘り上げていった。
 「わふっ『けだまたち、みつけるのはやい、ほるのもはやい!ゆきも、まけない!』」
 「ぴぃ~『ほったあなは、かすみがもどして、おみずもまいておく、まかせて!』」
 「では、しじゅくは、ほりだした、・たけ・のめを、あちゅめましゅ~
・たけ・のきりかぶの、いれもの、ありましゅか?」
九尾の長に、大きな切り株を入れ物にしてもらって、しずくはその中にぎっしりと・たけ・の若芽を詰め込んだ。
森の毛玉たちと分け合って食べても・たけの芽・はまだまだ残っていた。この大収穫に、幼子たちは大満足で、残りの・たけの芽・を入れた切り株を抱えて、意気揚々とお家の樹巨木の森の中心の樹に帰ってきた。
そして、嬉しそうに長たちへ・たけの芽・を配り終えると、あっさりと眠ってしまった。



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