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第4章 もふもふな幼子たちと子守役は森にお出掛けする
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しおりを挟む金目の長やみかん色の尻尾からの報告もあって、幼子たちのお散歩先は、当分の間お家の樹の近くになった。
元々のお散歩先は幼子たちに合わせて、足場が安定した、太い根っこ道沿いを選んでいた。
その為、段々とお家の樹からは離れた場所にお出掛けしていたのだ。
それなら足元に不安がなくなった今の幼子たちならば、足場が悪く遠回りになるお家の樹のそばの草叢でも楽しめると、最近一部の長から提案されていた。
今回は丁度いい機会だと、この提案が実行されたが、これには長たちのやる気を維持するためのモノでもあった。
当分の間先送りになった、幼子たちを自分の森に招待するという長たちの野望の代わりに、力の扱い方によっては、直接お出掛け先に出向き、お散歩隊の毛玉たちと戯れる幼子たちを、間近にできるのだ。
力の制御は、長たちの必修事項だったが、それ以上のものが必要となったのだ。
分かり易い目標が出来て、長たちのやる気は目に見えて上がった。
そんな中でも既に必要な物を身に付けだした長たちは、暇を見つけては幼子たちのもとに顔を出していた。
特に九尾の長は必要なモノをほとんど身に付け終えていた。
『あとは実際に使えるんかを、確認するだけやなぁ。』
そう言っていたのだが、ついに先程近くの森へ、実用できるかの確認に行くのだと、幼子たちのお散歩先に立ち寄って、そのまま出掛けて行った。
つまりは、自分の森で、生え放題枯れ放題になっている・たけ・を、引き続き綺麗に間引きに行ったのだ。
森からの帰りに、九尾の長は、再びお散歩先を通りかかった。
『幼子らは、まだここに居ったんか、丁度いい頃やし、ワイと一緒にお家の樹に戻ろか。
ワイの森の毛玉たちから幼子らへの、お土産もあるで~』
そう言ってふわふわな尻尾からいくつかの塊を取り出した。それは、幼子たちが夢の中で、迷子中に見かけた物だった。
「ぴぃ~『・たけ・のねっこのいれもの、いっぱいある!』」
「わふっ『きりくち、おさが、きった?すごい、きれい!』」
「おおきさが、ぜんぶ、ちがうでしゅね~たのしいでしゅね~おおきいきりかぶに、ちいさいのが、はいりましゅよ~
あれ、このなかに、なんかある?」
しずくが・たけ・の入れ物から取り出したのは、これも夢で見た、・たけの芽の皮・だった。
しかもこの皮は、綺麗に洗って乾かしたらしく、軽くて透けるようだった。
「わふっ『ちいさいけど、あめよけだ~』」
「ぴぃ~『すごい、もうできた!』」
「しゅごいでしゅ~あのおちてるかわから、どーやったら、こーなる、でしゅか?」
手放しで褒めたたえられて、九尾の長も誇らしそうだった。
『うちの毛玉らが、頑張って工夫してくれてな、何とか出来たんよ。幼子らの様子見たら、これで良いようやな、あれらも喜ぶわ。』
「『『おみやげ、ありがと~』』」
長にお礼を言うと、幼子たちはさっそく入れ物を使いたくなった。
「そーだ、これに、おいちい、くさのみをいれて、おうちに、もってかえろー」
急いで手分けをして美味しい実を集めると、かすみがそっと・たけの切り株・の入れ物に入れて、しずくが大事そうに抱えた。
「ぴぃ~『ほかのおみやげ、わすれないで!』」
「わふっ『だいじょうぶ、ぜんぶ、おさのしっぽに、のせた!』」
「きゅうびのおさ、おうちまで、のせて、くだしゃい!おねまいちましゅ~」
『ホンマに、長使いの荒い子らやで。ほな行くで、同行のモンらも、遅れんなや。』
急いで帰った幼子たちのお土産は、特に力の制御に苦労して広場でぐったりしていた長たちに、たいそう喜ばれたのだった。
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