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第3章 幼子たちと子守役たちはモフモフ巡りをする
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しおりを挟む幼子たちと若葉色の長・みかん色の尻尾同行付き・巨木の洞内散歩は、その範囲を外の枝にも向けることとなった。
だが、出入口付きの枝は、しっかりした太いものではあるが、内壁を巡る道や、巨木を支える太い根を使った根っこ道ほどではないし、何より揺れる。
しずくはみかん色の尻尾と手を繋いでいるし、かすみはもとより飛べるので、若葉色の長としてはどちらも安心だ。問題は、ゆきだった。
『ふ~む、興奮して駆け回ると、揺れる枝から足を踏み外して、枝から落ち易いのだ。』
対応策として、長が抱えて歩こうと提案して皆が賛成し、ゆきはご機嫌斜めだ。
「くう~ん…『だいじょぶなのに~』」と、独りとぼとぼと皆の後ろからついてきた。
『ふ~む、駆けださない、行くなという所へ行かない、止まれと言われたらすぐ足を止める。約束できるか?』
あまりにも不満げなゆきに、若葉色の長も渋々譲歩をしたが、まだ心配そうで、重ねて長から離れないことを約束させていた。
若葉色の長との約束を取り付けてご機嫌を取り戻したゆきを先頭にして、お散歩の一行は外の枝元に出てきた。
巨木の根元と違い、目の前も頭上も枝葉が視界を遮るほど近い。なのにその枝葉もすべて巨木の物だけなので、不思議とすっきりとして見える。
木漏れ日が廻り中を淡い緑に輝かせて、どこを見ても同じような風景だ。そんな森の中とも異なる風景の中を、お散歩一行は枝先へと進んでいった。
風景に溶け込みそうな若葉色の長を先頭に、みかん色の尻尾のモフモフを手に握り込んだしずくが尻尾主と並んで歩く。ゆきはその間を歩く約束だ。
進むにつれて、枝が細く揺れが大きくなり、長の歩みはより慎重にゆっくりになっていった。しずくはさらにゆっくり恐る恐る、みかん色の尻尾にしがみついて歩いていく。
「もっとしっぽ、いっぱいちゅかんで、いいでしゅか?こわくないでしゅか?」
一方でかすみは自由に枝から枝へと飛び渡り、今もゆきの鼻先近くの枝で、小枝と尾羽を揺らしている。
「ぴぃ~『ここもへいき~』」
そのかすみに近付こうとしても枝は細すぎて、長からも離れられず、ゆきは行きつ戻りつ忙しく歩き回っている。
「くう~ん『やくそく…』」
ゆきもかすみも枝の揺れなどお構いなしに動き回る中、若葉色の長の一歩で、枝が大きく揺れて一行の歩みが止められた。
『ふむ、今回はここまでだな。ここからでも見えるが、あの枝が隣の巨木の物だ。小さき者たちは、間の小枝を伝って行き来している。
ふむ、今は揺れが大きくて、落ち着くまで待っているのか?』
幼子たちが探してみると、小枝のあちこちで枝葉に何か隠れていた。
「ぴぃ~っ!『こんにちは~』」早速ご挨拶しようと、かすみが飛んでいった。
「わふっ!『あそぼー』」負けじとゆきも小枝に向かった。
「『『ゆき、とまって!』』」長たちが、急いで止めるが間に合わず、ゆきの姿が枝葉に突っ込んでいき、沈んでいった。
慌てたしずくがゆきのもとへ行こうとするが、ミカン色の尻尾の毛が巻き付いて動けない。どうしたのかとみかん色を見上げるしずくを、ミカン色の尻尾は優しく同じく動かない若葉色に渡した。
『後しばらくの間、止めておいて欲しいなのね、ついでにこの子もよろしくなのね~』そう言って、ミカン色の尻尾も枝葉に向かった。
今度は言葉も出さない若葉色の長の、長い尾毛に巻き付かれ、動けないしずくは見ているしかない。
ミカン色の尻尾が、枝葉の中に沈んでいったと同時に、
『見つけた、放してなのね~』と、声がした。
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