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第1章 幼子は、もふもふな幼子たちと子守役に出会う
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しおりを挟むここの水は濡れても大丈夫と聞いて、幼子たち特にしずくは安心した。
しずくが、ゆきをなでなでしたり、かすみの尾羽で撫でられたり、ゆきとかすみが運んできた水を飲んだりと、皆ではしゃいでいた。
そうやって遊びながら、幼子たちは岩の上で座ったままたっぷりと景色を楽しんでいた。
しばらくして、師匠から質問が来た。
『そなたら、花の木を見に行かないのか?
それとも水辺で食べられる草を探すか?』
「おはにゃのき、みたいでしゅ!
かしゅみのくえちゃおはにゃ、ちれーでちた~
だいじょぶでしゅ、わちゅれてまてん!」
幼子たちは慌てて岩から降りて、立ち上がった。
(お花の木見たい、忘れてない!
決して草に飽きたわけではない!
でも、今はたべたくないな~)
そしてお花の木を探して、歩き出した。
今度はゆきが案内してくれるらしく、しっぽをふりふり先頭をしっかりした足取りで歩いていく。
時々振り向いて、しずくの頭上に座り込んだかすみに、お伺いを立てる姿も安定感があってかわいい。
かすみの方は、しずくの頭上からどっしり動かず、時々鳴き声と尾羽の動きで、方向を教えているらしい。
「ぴぃーぴるぴる~」「ぴぃー」
などと鳴きながら尾羽を揺らせるのみで、体を安定させている。
その様子にしずくは感心していた。
『短い間に上達したわね~
いっぱい練習したのね、いい子ね~』
師匠たちの注目もこちらに集まっているのを感じる。
(ゆきとかすみが、とっても褒められてる~)
自分まで褒められているようでくすぐったいが、しずくはとてもうれしかった。
ニコニコして聞いていると、
『そうだな、先ずは転ばなくなった。
まっすぐ前を向いて歩いているし、なのに躓かぬようになった。
片足でもまっすぐに立てるな。
ずいぶんと、上達したな!』
しずくの話だった?!
「しじゅくのこちょ、でしゅか?
しじゅく、あゆくにょ、へたでしゅちゃか?」
驚いたしずくが質問するが、その拍子に足元がお留守になり躓いて転びそうになったのを、何とか耐えた。
その代わりにかすみがしずくの頭上からずり落ちそうになっていた。
かすみは羽をばたつかせていたが、ついに我慢できずに飛び上がった。
そしてその際、しずくの頭を蹴飛ばしていった。
(いたいよ、かすみ、ひどい~))
姿勢を戻して、しずくが頭を自分で撫でていると、師匠が答えてくれた。
『そうね、かすみも揺れに逆らわずに姿勢を保てるようになってるわ~
力を使わずにできてるのもいいわね~』
『しずくははじめは足元をにらみながら、一歩ずつそろそろと歩いて、それでも躓いていたわね~
力がきれいに流れるようになって、使い方にも慣れてくるにつれて、姿勢がよくなっていったわ~
一歩一歩がしっかりと脚を持ち上げて前に出せるようになったのね~』
(そうだった、始めは歩き難くて困ってた。)
『体が力の扱いに慣れ始めたのだろう。
考えずとも使いこなし始めたのだな。
ゆきも走っていて、急に止まったり曲がったりできていたな。
あれも使いこなす一例だ。』
頭上に戻ってきたかすみを、しずくは落とさぬように気を付けながら水溜りを避ける
そんなしずくを見てか、師匠が付け加えた。
『片足で立てるなら、跳んだり跳ねたりも転ばずにできそうだ。
まあ順番に少しずつ試そう。
さあ、ゆきが待ちくたびれているぞ。』
振り返ったまましっぽを振って待っていたゆきに向かって、しずくは手を振り返して、岩や水たまりを避けながら、湖を大きく回るように歩いていった。
向かった先はやはり草原だったが、疎らに木が生えていた。
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