NAO~ヌードアート・オンライン~

junhon

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戦うバニーガール!

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 おれはヘルメットタイプのフルダイブ型VR装置を頭にかぶり、仮想空間へとログインした。
 
 仮想世界での俺のアバターは長い黒髪くろかみの美少女だ。スレンダーながらも出るところは出ているボディをバニーガールの衣装に包んでいる。
 
 さて、今日はどのミッションに挑戦ちようせんするかな。
 
 おっ! この「チャレンジ100人抜き」、得られる経験点もバカ高い。難易度は高そうだがこれにしよう。
 
 空中に呼び出したパネルのエントリーボタンをすと、俺の身体はミッションスタート地点へと転送される。
 
 そこは広い闘技とうぎ場だ。そして俺の周りを二十体ほどのモンスター達が囲んでいた。
 
 普通ふつうのVRMMOなら大ピンチの状態だが、モンスター達はおそいかかってはこない。それどころか期待に鼻息をあらくし、俺の一挙手一投足を見守っている。
 
 まずは軽く――
 
 俺は胸の谷間を強調するため、前屈まえかがみになっておしりを突き出し、モンスター達にウィンクと共に投げキッスを送った。
 
『ERECT!』『ERECT!』『ERECT!』

 十体ほどのモンスター達の頭上にその文字が現れ、目をハートにしながらドットがくずれる様に消えていく。
 
 次は闘技場のふちへと華麗かれいに飛び上がり、あしを組んで座ってからのかみをかき上げる仕草。
 
『ERECT!』『ERECT!』『ERECT!』

 さらにモンスター達は満足そうな表情で消えていくが、追加のモンスターが次々と闘技場に押し寄せた。

「ウサギだけど女ひようのポーズ♡」

「ウサギはさびしいと死んじゃうんだからね♡ のポーズ」

「ウサぴょんのポーズ♡」

 俺は連続で扇情せんじよう的なポーズを繰り出し、モンスター達を昇天しようてんさせていく。
 
 ここでこのゲーム、『ヌードアート・オンライン』について解説しておこう。
 
 プレイヤーは女性のアバターを選び、モンスターの姿の観客――スペクテイターを性的に興奮させるのが目的だ。
 
 スペクテイター達もこのゲームにダイブしている人間であり、性的興奮が一定以上に達する――つまりアレがナニするとたおされたあつかいになる。
 
 さらにはなるべくはだを見せないでスペクテイターをたおした方が高い経験値を得られた。そういう意味では、布面積に対するエロさが異常とも言えるバニーガールはもってこいだった。
 
 俺は未だかつてこの衣装をぐことなくあらゆるミッションをクリアしている。その強さはゲームのバグではないかとまで言われ、付いたあだ名は「BUGってバニー」だ。
 
 そうして「100人抜き」のスペクテイター達も残りわずかとなったところで、その一人がさけんだ。

「あ、あいつは……『想像しん・ブラフマン』じゃないのか!?」

 その視線の先へと目をやれば、悪魔あくま――いや魔王まおうとでも呼ぶべき貫禄かんろくを備えたスペクテイターが居た。スペクテイターもプレイヤーの攻撃こうげきえるほどにレベルが上がり、上級モンスターの姿となるのだ。
 
 ブラフマン……未だだれも〈ERECT!〉させたことがないとうわさされる高レベルのスペクテイター。エロい想像などしないのではないかという所から『想像しん』の名で呼ばれていた。
 
 くっ、あと少しでミッションクリアというところでこんなやつに出くわすとは……。
 
 俺はとっておきのポーズをいくつも繰り出すが、ブラフマンには通じない。ミッションの残り時間も少なくなり、残るスペクテイターは奴一人となる。
 
 こうなったら仕方がない。自分のプレイスタイルを曲げてでも奴をたおす!
 
らえ!」

 俺はバニーガールの胸の部分をペロンとひっくり返す。プルンと豊かなそうきゆうを奴の目にさらした。
 
「……ふぅ」

 それでも奴はすずしい顔でため息をらす。ならばこれでどうだ!
 
「キャストオフ!」

 俺はバニーガールの衣装を全て脱ぎ捨てる。ただしウサ耳とハイヒールはそのままだ。何故かって? その方がエロいからさ!
 
「さらにウサぴょんM字開脚!!」

 両うでをウサギの耳の様に持ち上げ、M字型に大きく脚を広げた。だが――
 
「……はぁ」

 奴はほおを染めもしない。ここまでやっても勝てないのか?
 
 俺が敗北にひざをつくその横に、別のプレイヤーが並んだ。
 
 スペクテイターがあと一人となった場合、他人のミッションに乱入が可能なのだ。そして代わりに倒すことが出来れば経験点は全て乱入者のものとなる。
 
「ま、待て……そんなアバターでは……」

 俺はブラフマンに向かっていく乱入者の背中に声をかけた、何故ならそのアバターは紺色のスクール水着を着た小学生低学年の姿。そんな何の色気もないアバターで奴に敵うはずがない。
 
 少女はスク水の他に白いニーソックスと赤いランドセルを装備していた。そして背中に手をばしてランドセルの横にさったリコーダーを持つ。
 
 そしてそのリコーダーにくちびるを当て、でたらめな音色を奏で始めた。
 
『ERECT!』

 ブラフマンの頭上にナニがアレした事を示すメッセージがかび、奴は表情をとろけさせながら消えていく。
 
 俺は全てを理解し、さけぶのだった。
 
「ロリコンだったのかよ!!」
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