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ゴールデン〇ムイ

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「どもー、杉本です!」

「どもー、アシリッパです!」

「「二人ふたり合わせてイオマンテです!」」

 舞台に出てきた男女二人組が客席に向かってアピールする。
 
「いやいや、名前が一文字もコンビ名に入っていませんよ?」

「まあまあ杉本さん。ところで杉本さんの出身地はどこですか?」

わたしの生まれは神奈川県かながわけん横須賀市よこすかしの富士見町なんですよ」

「ほほう」

「俺は富士見の杉本だ!」

……シーン。
 
「俺は富士見の杉本だ!」

……シーン。
 
「えーと……そういうアシリッパさんはどこの生まれなんですか?」

「私は北海道の小樽おたるですね。実はアイヌの血が流れているんですよ」

「おー! そうなんですか」

「杉本さん、アイヌでもっとも親しまれている動物ってなんだか分かりますか?」

「それは熊じゃないですかね? 私たちのコンビ名もイオマンテ――熊を送るお祭りですし。熊はキムンカムイでしたっけ?」

「ところが意外や犬なんですよ」

「えええーー!」

「アイヌの集落コタンに行けばよく見かけるんですよ。『あ、犬だ』って」

……シーン。

「そ、そう言えばアイヌの文化って独特ですよね~」

「アイヌは文字を持たなかったですからね。口承で文化を伝えてきたんですよ。有名なのは神話や伝承を伝える『ユーカラ』ですね」

「それは興味深いですね」

「気になりますか? じゃあ、今からユーカラよく聞いて」

……シーン。

 こうして漫才コンビ「イオマンテ」は、最後まで観客と視聴者をクスリとさせることも出来ずに舞台を終えた。
 
 ゴールデンタイムのお茶の間に冷え冷えとした空気を漂わせる。
 
 
 
 
 
『ゴールデンサムイ』――完!
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