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【おまけ】ギャル子とパンツ
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季節は巡り――春がやってくる。
小町と時子、そして早知に渚に友理は進級しても同じクラスとなった。
一人和花だけは別のクラスになってしまったのだが、和花のことだから心配はないだろう。彼女は夏休み前の生徒会長選挙に備えての根回しに余念がない。
そしてこの期間に一番の変化を見せたのは渚だった。
腰まで届いていた癖の強いワカメ頭をバッサリ切ったのだ。何でも儀式の際に髪を焦がしてしまったらしい。さらにその後、自転車に乗っていた時に電柱にぶつかって怪我をしたことで、母親から眼帯の着用を禁止され、前髪も短く切りそろえることとなった。
今まではなんか貞子か! って感じだったのだが、きちんと髪を整えた渚が実はかなりの美少女だったことが判明する。ものすごい勢いでモテだした。しかし本人がその状況を喜んでいるかと言えば――
「何が……何が起こっているのだ。おかしい。私がこんなにモテるはずがない。組織か!? 組織の陰謀なのか!?」
少しノイローゼ気味になった渚は、ファミレスのテーブルに肘を突いて頭を抱えるのだった。
「ご注文を承ります」
放課後の日課でファミレス『マグノリア』に寄った小町達の元に、あの元暴走族の赤井が注文を取りにやってくる。
時子にフラれてからも赤井はここでのバイトを続けていた。
「ねぇ、あの二人。なんかちょっといい雰囲気じゃない?」
和花がテーブルに身を乗り出し、声を潜めて小町に囁く。
小町が赤井に目を向けると、早知と赤井がどこか楽しげに会話を交わしていた。
「お待たせしました」
トレーに注文の品を乗せた早知が小町達の元にやってくる。
「ねぇ、さっちゃん。もしかして赤井さんのことが好きなんですか?」
小町はストレートに質問をぶつけてみた。
「ば、ば、ば、ばばばっ。ちげーし、そんなんじゃねーしっ」
そう言って早知は否定するのだったが、トレーで隠した顔は真っ赤に染まっている。
そんな早知をからかった後、ファミレスを出た小町達は帰路についた。
和花が図書館に寄っていくからと言って最初に別れ、渚、友理の順で別れていく。
友理の方は相変わらず小町にべったりだった。そんな友理を小町と付き合っている時子が特に邪険にする事もなく、むしろ小町がモテるのは嬉しいという感じである。
友理に手を振って見送ったところで、突然の強風が吹いた。
小町の長いスカートはめくれることがなかったが、時子と友理のスカートが風を受けて下着をのぞかせる。
時子の方は気にした様子もなかったが、友理はスカートを押さえて真っ赤な顔で振り返った。
「あぅ、あぅ、あぅうううっ」
幸いなことに近くにいるのは小町と時子だけだったが、友理は赤い顔を押さえながら走り去る。
「はははっ、友理ちゃんは可愛いですねぇ」
その姿を微笑ましく見送る小町に時子が顔を向けた。
「ねぇ、小町」
「はい、なんでしょう?」
「私、小町のパンツが見たい」
「いきなりなに言ってるんですか!?」
「好きな人のパンツを見たいってのは自然な感情でしょう?」
「いや、男子ならそうかもしれませんが女子としてはどうなんでしょう?」
「とにかく私は小町のパンツが見たいの」
時子が顔を寄せてくる。その目は真剣だった。
「体育の時なんかに更衣室では見てるんじゃないですか?」
「違うの。そういう所じゃない場所でじっくりばっちりたっぷり見たいの」
時子が自分の欲求を露わにすることなど珍しい。出来ることなら叶えてあげたいが……。
女の子同士とは言え、そんな風にじっくりパンツを見られるのは恥ずかしいのだ。
「いや、私のパンツは人様にお見せ出来るようなものじゃあないですよ」
「いいから見せて」
時子の手が小町のスカートに伸びる。
「いやぁあああああーーーーー!」
小町は一目散に逃げ出すのだった。
「小町、パンツ見せて」
自宅マンションに辿り着いた後も時子の猛攻は続く。
「パンツ見せて」
「パンツ見せて」
「パンツ見せて」
「ああもうっ、分かりましたよ! 見せればいいんでしょう!」
このままでは時子が永遠にその言葉を繰り返しそうだと思い、渋々小町は折れた。
「早く早くっ」
小町の前で正座した時子が急かす。
「う……ううっ、これが私のパンツです! こんちきしょう!」
小町は自棄になってスカートをめくる。
なんの変哲もない綿90%のパンツである。二枚セットで九八〇円|(税抜き)だ。こんな事ならもっといいパンツをはいていればよかったと後悔する小町だった。
時子は瞬きするのも忘れたように、じっとそのパンツに見入る。
「ギャル子さん、もうそろそろいいですか?」
小町は頬を染めながら訊ねた。
「ねぇ、小町」
「はい?」
「私、なんだか変な気分になってきちゃった」
時子は顔を赤くして、息を荒らげる。
「ちょっ、ギャル子さん!?」
「よし、小町。赤ちゃん作ろう」
立ち上がった時子が小町を押し倒す。
「無理ですよ! あ、だめっ、いやぁあああああーーーーー!」
小町の悲鳴が長く響くのだった。
小町と時子、そして早知に渚に友理は進級しても同じクラスとなった。
一人和花だけは別のクラスになってしまったのだが、和花のことだから心配はないだろう。彼女は夏休み前の生徒会長選挙に備えての根回しに余念がない。
そしてこの期間に一番の変化を見せたのは渚だった。
腰まで届いていた癖の強いワカメ頭をバッサリ切ったのだ。何でも儀式の際に髪を焦がしてしまったらしい。さらにその後、自転車に乗っていた時に電柱にぶつかって怪我をしたことで、母親から眼帯の着用を禁止され、前髪も短く切りそろえることとなった。
今まではなんか貞子か! って感じだったのだが、きちんと髪を整えた渚が実はかなりの美少女だったことが判明する。ものすごい勢いでモテだした。しかし本人がその状況を喜んでいるかと言えば――
「何が……何が起こっているのだ。おかしい。私がこんなにモテるはずがない。組織か!? 組織の陰謀なのか!?」
少しノイローゼ気味になった渚は、ファミレスのテーブルに肘を突いて頭を抱えるのだった。
「ご注文を承ります」
放課後の日課でファミレス『マグノリア』に寄った小町達の元に、あの元暴走族の赤井が注文を取りにやってくる。
時子にフラれてからも赤井はここでのバイトを続けていた。
「ねぇ、あの二人。なんかちょっといい雰囲気じゃない?」
和花がテーブルに身を乗り出し、声を潜めて小町に囁く。
小町が赤井に目を向けると、早知と赤井がどこか楽しげに会話を交わしていた。
「お待たせしました」
トレーに注文の品を乗せた早知が小町達の元にやってくる。
「ねぇ、さっちゃん。もしかして赤井さんのことが好きなんですか?」
小町はストレートに質問をぶつけてみた。
「ば、ば、ば、ばばばっ。ちげーし、そんなんじゃねーしっ」
そう言って早知は否定するのだったが、トレーで隠した顔は真っ赤に染まっている。
そんな早知をからかった後、ファミレスを出た小町達は帰路についた。
和花が図書館に寄っていくからと言って最初に別れ、渚、友理の順で別れていく。
友理の方は相変わらず小町にべったりだった。そんな友理を小町と付き合っている時子が特に邪険にする事もなく、むしろ小町がモテるのは嬉しいという感じである。
友理に手を振って見送ったところで、突然の強風が吹いた。
小町の長いスカートはめくれることがなかったが、時子と友理のスカートが風を受けて下着をのぞかせる。
時子の方は気にした様子もなかったが、友理はスカートを押さえて真っ赤な顔で振り返った。
「あぅ、あぅ、あぅうううっ」
幸いなことに近くにいるのは小町と時子だけだったが、友理は赤い顔を押さえながら走り去る。
「はははっ、友理ちゃんは可愛いですねぇ」
その姿を微笑ましく見送る小町に時子が顔を向けた。
「ねぇ、小町」
「はい、なんでしょう?」
「私、小町のパンツが見たい」
「いきなりなに言ってるんですか!?」
「好きな人のパンツを見たいってのは自然な感情でしょう?」
「いや、男子ならそうかもしれませんが女子としてはどうなんでしょう?」
「とにかく私は小町のパンツが見たいの」
時子が顔を寄せてくる。その目は真剣だった。
「体育の時なんかに更衣室では見てるんじゃないですか?」
「違うの。そういう所じゃない場所でじっくりばっちりたっぷり見たいの」
時子が自分の欲求を露わにすることなど珍しい。出来ることなら叶えてあげたいが……。
女の子同士とは言え、そんな風にじっくりパンツを見られるのは恥ずかしいのだ。
「いや、私のパンツは人様にお見せ出来るようなものじゃあないですよ」
「いいから見せて」
時子の手が小町のスカートに伸びる。
「いやぁあああああーーーーー!」
小町は一目散に逃げ出すのだった。
「小町、パンツ見せて」
自宅マンションに辿り着いた後も時子の猛攻は続く。
「パンツ見せて」
「パンツ見せて」
「パンツ見せて」
「ああもうっ、分かりましたよ! 見せればいいんでしょう!」
このままでは時子が永遠にその言葉を繰り返しそうだと思い、渋々小町は折れた。
「早く早くっ」
小町の前で正座した時子が急かす。
「う……ううっ、これが私のパンツです! こんちきしょう!」
小町は自棄になってスカートをめくる。
なんの変哲もない綿90%のパンツである。二枚セットで九八〇円|(税抜き)だ。こんな事ならもっといいパンツをはいていればよかったと後悔する小町だった。
時子は瞬きするのも忘れたように、じっとそのパンツに見入る。
「ギャル子さん、もうそろそろいいですか?」
小町は頬を染めながら訊ねた。
「ねぇ、小町」
「はい?」
「私、なんだか変な気分になってきちゃった」
時子は顔を赤くして、息を荒らげる。
「ちょっ、ギャル子さん!?」
「よし、小町。赤ちゃん作ろう」
立ち上がった時子が小町を押し倒す。
「無理ですよ! あ、だめっ、いやぁあああああーーーーー!」
小町の悲鳴が長く響くのだった。
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