記憶屋

卯月青澄

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彼が私の中の記憶を消したい?

そんな事ありえない。

私たちが一緒に生きた数ヶ月の思い出、記憶を消したいなんて思うはずがない。

もしかして彼はこの世界からいなくなるからそんな依頼を?

残された私の苦しみを察して、私の中の彼の記憶をなかったものにしよとしてる?

そもそも記憶を消すなんて事が出来るの?

記憶屋なんて言っているけど、一体何者なの?

お金目当てでうまい事を言ってるんじゃないの?

新しい形の詐欺師なんじゃないの?

「どうして彼は私の記憶を消そうと?」

「理由は知りません。私は依頼に応えるだけです。ちなみに、あなたはそれでよろしいですか?」

「ちょ‥ちょっと待って下さい。私は絶対に嫌です」
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