記憶屋

卯月青澄

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それに反して彼の容態は徐々に悪くなっていった。

入院して数ヶ月は起き上がる事も歩く事も出来た。

私が帰る時、1階の入り口まで送ってくれた。

でも、11月になる頃には、彼はベッドから起き上がれなくなっていたし、歩く事も難しくなっていた。

だから病室でバイバイをした。

病室を出ると壁にもたれかかり、むせび泣く日が毎日のように続いた。

彼が病魔に蝕まれて弱っていく姿を見るのが辛かったし、怖かった。

彼のいない世界を想像しただけで胸が苦しく、吐き気をもよおし嘔吐した。

家に帰っても何をしていても彼を思い出すと涙が溢れてきた。
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