記憶屋

卯月青澄

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あとは彼が来るだけ。

私は彼が来るのを今か今かと待ちわびていた。

玄関を出たり入ったりを繰り返した。

でも、彼はいくら待っても来なかった。

約束の時間を過ぎても来なかった。

何かあったんじゃないかと思いLINEをしてみたけど、返事は返ってこなかった。

1時間が過ぎた。

プルルルル…プルルルル…

電話が鳴った。

彼からだった。

「もしもし、とうしたの?」

「平野美咲さんですよね?」

受話器から聞こえてきたのは女性の声だった。
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