記憶屋

卯月青澄

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「行くよ」

「はい」

先輩は車椅子を押してくれた。

最近の僕は歩く事さえままならない状態だったので、2人でどこかに行く時は車椅子での移動になってしまっていた。

弱っている姿を見せたくないとは言っても、僕の意に反して体は正直だった。

歩く事は出来ないし、起きていることさえツラく、気付くと意識を失っている時さえある。

両親は入院して治療を受けていれば直ぐに退院できると言っていた。

でも、残念な事に自分の体の事は自分が一番わかっている。

もうそんなに時間は残されていない。
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