記憶屋

卯月青澄

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「無理しなくていいですよ」

「無理? 誰がそんな事言った?」

「言ってないですけど、毎日来るんじゃ大変かなと思って…」

「あっそぉ、ならもう来ない」

先輩は椅子に置いていた荷物を引ったくると、僕をひと睨みして病室を出て行った。

目に溢れんばかりの涙をためていた。

どうやら先輩を怒らせてしまったようだ。

直ぐにメールで謝ろうと思ったけど、出来なかった。

先輩は次の日も、さらに次の日もお見舞いには来なかった。

電話もメールもなかった。

僕もしなかった。

出来なかった。
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