記憶屋

卯月青澄

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記憶屋

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記憶を消しただけで幸せになれるとは思わない。

ただ、消したい記憶を持っているせいで、掴めるはずの幸せを取り逃す事だけはあってはならないと思ってる。

《依頼が完了しました》

記憶屋の運営本部にメールを送った。

《お疲れ様でした》

直ぐにメールが返信されてきた。

きっと自動返信に違いない。

運営者が代行者の依頼の完了など待っている訳がない。

そんな事はどうでもいい。もともと記憶屋の運営者など信用していない。

それに、この仕事は好きでやっているだけだから労いの言葉など必要ない。

辞めたくなったら辞める。

それだけだ。
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