パパLOVE

櫻井詩織

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料理は、ある時いずみんの部屋に置いてある料理のレシピを見つけたことによって、ヘタなりに作る努力をするようにした。

結果、見た目は良いとは言えないけど、味はそこそこになったような気がする。

「香澄、今日の料理はどう？」

「ママ、おいしいよ」

「変な味しない？」

「だいじょうぶだよ」

こんな風に毎日料理の味を確認をして、自分に自信をつけていった。

数カ月も経てば、家事は人並み程度には出来るようになっていた。


香澄と暮らし始めて数ヶ月が経った時、小学校の担任の先生から学校に呼び出された。

「今日はわざわざ起こし頂きありがとうございました」

２０代の若い美人の先生で名前は小川里香。

「それで香澄のことで話があるって、何ですか？」

「お母様、前にも来て頂いた時にも申し上げましたが、香澄ちゃんは教室ではいつも独りぼっちなんですよ」

いずみんが香澄のことで学校に呼び出されたなんて話は初めて聞いた。

「何で１人なんですか？」

「香澄ちゃんは友達と和気あいあいするよりも1人が好きというか、一匹オオカミ的な感じなんです。クラスにも馴染めていませんし。少し大人びたところがありますし、思春期なのかもしれません」

「そんな訳ないですよ。だって香澄は明るいし、優しいし、甘えん坊だし、寂しがり屋だし、泣き虫だし…そんな香澄が一匹オオカミというのは納得出来ません」

「そう言われましても…」

「わかりました。友達がいないのは私も重く受け止めるとして、何で今回も私を呼んだんですか？」

「友達のこともそうなんですけど、他にも問題が…実は香澄ちゃん、学校で飼っているうさぎと鶏に危害を加えているみたいなんです」

「ちょ‥ちょっと待って下さい。もちろん何か証拠があって言ってるんですよね？何も証拠がないのにうちの子を疑うなんてひどっ‥」

「防犯カメラに映っていたんです。香澄ちゃんが動物たちを虐待しているところが…」

「そんな…」

「私も家庭の事情に口を挟むつもりはありません。でも、今の香澄ちゃんは少し変なんです。もう少し真剣に香澄ちゃんと向き合ってあげる必要があると思います」

それでもどうしても納得出来なかったので香澄が動物を虐待している映像を見せてもらった。

信じられなかったけど、確かに香澄だった。

小川先生の言う通り、防犯映像に映る香澄は普段の香澄とはかけ離れていた。

香澄をこんな風に変えてしまったのは、あの忌まわしい事件があったからに違いない。

記憶がなくても、潜在意識の中には鮮明に記憶されていて、それが精神的に不安定にさせてしまっている原因になってるのかもしれない。