パパLOVE

卯月青澄

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日本にいるいずみんは、私がニューヨークに来て半年後に西島彰と結婚した。

新しいマンションを購入して、幸せな結婚生活をスタートさせていた。

2人を祝福したい気持ちがある反面、悔しさとか切なさとか悲しさとか複雑な心境に陥っていた。

もちろん毎晩涙を流し、枕を濡らした。

泣かずにはいられなかった。

だって私は未だに彼が好きなんだから…。

でも、いずみんと彼が結婚してからは、彼とは殆んど連絡を取っていない。

話がしたいし、会って顔が見たいのも、もちろんあった。

でも、2人の幸せを壊す訳にはいかないし、そもそも私では2人の中を壊すことなど出来ないほど、2人は固い絆で結ばれていた。

2人が結婚して数ヶ月後には第一子が誕生した。

名前は快斗、男の子。

翌年には第二子が生まれ、名前は香澄。

子供を見るだけで気持ち悪くなる私が、いずみんの子供だけは何故か大丈夫だった。

普通に可愛いと思えたしスゴく愛おしく感じた。

こんな気持ちは初めてで、2人が可愛くて愛おしくて仕方なかった。

私に甥と姪が出来たことが嬉しくて、彼らに会いたくて、始めの頃は半年に1度は日本に帰って会いに行った。

でも次第に仕事が忙しくなり、快斗が小学校に上がる頃には殆んど会いには行けなくなっていた。

もう1つ驚くべきことがあった。

何と『南風』2号店が東京の青梅市に出店したのだ。

しかも、店長は芽衣で副店長は沙弥だった。

もちろん開店資金は全てオーナーが出したのは言うまでもない。

開店から数週間はみゆきさんが館山からやって来て、お手伝いをしていた。

開店から売り上げは順調でランチ、ディナーともに長蛇の列が出来ていた。

開店から数ヶ月後には雑誌で紹介されたり、YouTubeなどの動画で勧められたりしていた。

そうなると人気は更に拍車がかかり、他県からも『南風』を訪れる人が増えていった。

2号店がオープンして3年が経った頃、東京の渋谷の一角に3号店がオープンした。

そして3号店の店長は芽依がやることになり、2号店は副店長だった沙弥が繰り上げで店長になり店を切り盛りすることになった。

この頃になると、いずみんは子育てが少しずつ落ち着いてきて、『南風』に復帰出来るようになった。

そして『南風』の料理レシピを全て知り尽くし、全てを調理出来るいずみんは、料理長になり2号店と3号店を行ったり来たりしていた。

私がニューヨークに来て9年たった今も店は繁盛し続けていた。

しかも栃木県と群馬県にも店を出店していた。

今や5号店まで店を構えるチェーン店になっていた。

この間、沙弥は職場の男性と結婚し、子宝にも恵まれていた。

一方、芽衣は相変わらず男性からはモテモテで毎晩のように食事に誘われて遊び回っているらしい。

でも特定の男性はいないらしい。

いい歳になったくせに、まだまだ遊び足りないと言っていた。

相変わらずだった。
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