パパLOVE

卯月青澄

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数日後、私は坂本さんと桜子さんと一緒に日本を発った。

そしてニューヨークにでの生活をスタートした。

私は日本を発つ時、決めていたことがあった。

私は一生海外で生きて行く。

こっちでプロのピアニストとして生きて行く。

“あの方”の期待に応えて、“あの方”の数々の御恩に報いたいと思う。

私の生涯をかけて“あの方”に恩返しをしようと思う。


ニューヨークに来て1年が経った。

この間、私は幾つかのピアノコンクールに出場し、最優秀賞を獲得した。

あの有名なオーディション番組にも出場し優勝した。

そして、私はアメリカで最も有名な音楽プロデューサーからオファーを頂き、CDの販売やソロのピアノコンサートを開催することになった。

いつしか私はプロのピアニストとして海外で活躍し、3千人を収容出来る音楽ホールを観客で埋め尽くす程の有名人になっていた。

この頃、私と同じように海外で活躍するようになった日本人がいた。

彼の名前は一条蓮。

あの一条家の御曹司だ。

彼とは日本のピアノコンクールで何度か会ったこともあったし、幾度も雌雄を決して来た。

でも彼は私に勝ったことは1度もない。

彼は私がいる限りいつも2番。

私の方がピアノは上手いし、そもそも次元が違う。

比べられるのさえ嫌だ。

それでも彼の実力を認めてない訳でもない。

どちらかと言えば、認めている。

彼には生まれ持った品位と品格が備わっているし、私にはないピアノのテクニックと言うか表現力も兼ね備えている。

だからと言って、私に敵う訳がない。

だけどプロになった彼は日本でも世界でも人気があった。

ピアノの貴公子と呼ばれるだけあって女性ファンはかなり沢山いるし、ファンの年齢層は幅広い。

前々から思っていたけど、顔はそこそこ良い。

男臭くないし、中性的な感じがするので清潔感がある。

某◯ャニー◯のアイドル以上にアイドルっぽい。

だからなのか私も彼と一緒にいても気持ち悪くならない。

また彼のソロコンサートのチケットは即日完売するらしくて、手に入れるのも難しいらしい。

何度かチケットもらってコンサートに行ったことがあるけど、私のコンサートの時とは全く雰囲気が違った。

95%が女性客で会場全体がアイドルのライブにでも来ているようだった。

そして何度か互いのコンサートに行き来するようになり、連絡先の交換をした。

私と同い年で同じ職業で活躍し同じように人気があり、互いに認めあう存在になった彼と自然と電話で話すようになっていたし、メールも暇があれば送り合うようになっていた。

そしていつしか、2人切りでお茶をしたり食事に行く仲になっていた。

だからと言って付き合っている訳ではないし、男性として見ていた訳でもない。

だけど優しくて、スゴく良いヤツであることは間違いない。

私は彼と話すのが好きだった。

彼の優しい声を聞くと癒やされるので好きだった。

彼は私のくだらないお喋りを黙って聞いてくれて、ツッコミどころがあると中々センスの良い言い回しで突っ込んでくれる。

頭の回転が早く語彙力があるので嫌味なツッコミをしてこない。

それだけで私の中では合格点なのだ。
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