パパLOVE

卯月青澄

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櫻井詩織

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翌日は午後に家に帰って来て、夕方に私といずみんと西島彰の3人で食事をした。

彼とは時々2人で食事に行ったりして、私の話しを聞いてもらったりしていたけど、3人で会ってどこかに出かけるのは初めてだったので新鮮と言うか緊張した。

でも、普段の2人を見られる良い機会だったので楽しみだった。

東京都内の駅で待ち合わせをしたけど、いずみんも彼も挨拶を交わしてからは殆んど言葉を交わすことはなかった。

もしかしたら私がいるから話しづらいのか、もしくは喋るのを抑えているのかと思っていた。

でもしばらく様子を見ているけど、2人が一向に喋りだすようなことはなかった。

もしかしたら普段からこんな感じなのかもしれない。

会話も何もないんじゃ全然面白くもないし、一緒に居てもつまらないんじゃないかと思いながら2人を観察していた。

いずみんには悪いけど、彼はきっと私と一緒にいる方が楽しいんじゃないかと思ってしまった。

それにファミレスに入ってからも、お喋りをするのは私と彼で、いずみんはその様子を黙って聞いて笑っていた。

思ってしまうのは悪いことだとわかっていたけど、彼にはいずみんよりも私の方がお似合いな気がした。

彼を幸せに出来るのは、いずみんではなくて私だと確信を持って思えた。

でも、数時間一緒にいると、嫌でもわからされたことがあった。

彼はいずみんのことが大好きで、いずみんもまた彼を大好きだった。

見てればわかる。

2人は話はしないけど互いのことを気にかけていた。

いずみんはずっと彼を見つめているし、彼もまた、いずみんを見つめていた。

その目は言葉で愛していると言うよりも愛していると伝わるものだった。

この時初めて私ではいずみんには敵わないと思った。

また彼は私と時々会って食事をしていることを、いずみんに話しているし、いずみんもそのことを知っていた。

私はいずみんから信頼されているし、そもそも疑ってさえいなかったのかもしれない。

そうじゃなきゃ、私と彼が2人切りで会っているのを普通は許すはずがない。

2人は互いを信頼しあい、愛し合っている。

私が入る隙など1ミリたりともない。

そんなことは嫌でもわかった。

わかったけどわからない。

わかりたくもない。

だって彼は私が初めて好きになった人。

初めて愛した人。

それでも、いずみんには幸せになって欲しい。

それに私は彼を愛しているいずみんを見るのが好き。

いずみんを愛している彼を見るのも好き。

それでも割り切れない私がいて、諦めの悪い私がいて、彼を大好きな私がいて…

彼を忘れられない私がいて、彼を私の中から消し去ることなど出来ない私がいて…

そんな私も…

今は少しは許してあげたいと思っている。
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