パパLOVE

卯月青澄

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あの騒動から半年が経った。

今の私は色んな会社から沢山の仕事をもらって芸能界と言う、過酷な世界で人気を博している。

テレビをつければ、毎日のようにテレビに映っている私がいた。

でも、私がしたい仕事は一向にやってこなかった。

逆にドラマや映画の出演にとどまらず、最近ではバラエティ番組やお昼の情報番組にも呼ばれることが多くなった。

大して面白いことが言える訳でも、気の利いたセリフが言える訳でもない。

周りの大人からは面白かったとか良いコメントだったと言われるけど私的には納得できる結果は出せていない。

お笑い芸人のようなキレのいいボケとツッコミを出せたとは思っていない。

と言うか、そもそも私はお笑い担当ではないし、笑いを求められても困る。

どんどん私のキャラクターと言うか、ポジションがわからなくなってきた。

そもそも私はこんなことのために芸能界に入った訳ではない。

全ては私のピアニストとしての輝かしい未来を築くために始めたこと。

いつまでもこんなことをしている場合じゃないと焦り始めていた。

「社長、お話があります」

仕事がオフになった昼下がり、会社の社長と話すために東京都内にある地上18階地下2階建ての本社を訪ねた。

「櫻井さん、久しぶりだね。元気でやってるかね?」

「はい、元気です」

「君の活躍には目を見張るものがあるよ。今やもの凄い人気で本当に驚いてるし感謝してる。でも、わざわざ訪ねて来るなんて一体どういう要件なのかな?」

「ピアノの仕事がしたいんです。私がこの会社に入ったのはピアノの仕事をさせてもらえるということで入りました。でも今は、殆んどがドラマとか映画とかバラエティ番組とかの仕事ばかりです。色んな経験をさせてもらってますし、沢山のチャンスをくださることに大変感謝してます。でも、私はもっとピアノの仕事がしたいんです。ピアノの仕事をさせて下さい」

「確かに言われてみればそうだったね。君には会社のために本当に貢献してもらってるし尽力してもらっている。そんな君がピアノの仕事をしたいと言うならあたってみるよ」

「いいんですか?」

「もちろんだよ。少しだけ時間をくれないか?私の知り合いにピアノとかオーケストラと言った仕事を専門にしているから、君が望むような仕事ももらえると思うよ」

「ありがとうございます。よろしくお願い致します」

私は社長に向かって深々と頭を下げてから社長室をあとにした。

社長が快く承諾してくれた。

知り合いを紹介してくれるようなことを言ってた。

言ってみるもんだな。
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