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「坂本さん、いずみんは逮捕されなかったってことですよね?」
「もちろんだよ。誰かがあの映像を分析してフェイク映像であることを証明してくれたんだ。どこの誰だかわからないけど、本当に助かったよ」
「良かったぁ」
「泉水さん、あなたがやってくれたことには本当に感謝しています。詩織さんのマネージャーとしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。でも、1つ言っておくと、今回の泉水さんの会見を身代わりになったとか売名行為とか騒ぎ立ててくる連中が必ず現れる。特に、詩織さんを陥れようとした人間は黙っちゃいないだろう。次に何を仕掛けてくるか全くわからない。油断の出来ない状況に変わりはない。それに例え本人の不祥事じゃなくても家族の中に犯罪者がいるとなると何かと問題になるかもしれないしね」
「そうですよね。十分注意します」
日が変わり、朝起きてワイドショーを見てみると、昨日の騒ぎが嘘のように私に関することは一切やっていなかった。
いずみんの会見も何もなかったかったかのように終息していた。
何なのこれ…
プルルルル――プルルルル――
テレビを見ていたら坂本さんから電話がかかってきた。
『もしもし』
『詩織さん、おはようございます。早速なんだけど、今日から仕事に戻って欲しい。ドラマの撮影が午後からあるんだ。大丈夫かい?』
『大丈夫です。でも復帰していいんですか?』
『ドラマだけじゃない。CMの撮影も映画の撮影も再開だし、雑誌も通常通りの販売になった』
『いずみんのおかげですね』
『原因はそれだけじゃないんだ』
『どういうことですか?』
『何か目に見えない得体の知れない巨大な力が働いたんだ。君を守ろうとしてもの凄い権力が動いているみたいなんだ。何か心当たりはあるかい?』
『心当たりですか…』
ない訳ではない。
あるって言えばある。
あの方…
もしかしたら、“あの方”が動いてくれたのかもしれない。
そんなの“あの方”しか出来ない。
『あるんだね?』
『はい…私が“あの方”と呼んでる人だと思うんです』
『実は内緒にしておいてほしいんだけど、ドラマのスポンサーになっている大企業の社長が大学の時の知り合いでね、聞いてみたんだ。「誰が今回の騒動を収めたんだ?」「誰が社長の君に働きかけたんだ?」って聞いてみたんだ』
『何かわかりましたか?』
『彼は言っていたよ。その人の好きな万葉集の一説に【藤波の咲く春の野に延ふ葛の下よし恋ひば久しくもあらむ】と言う詩があると』
『藤ですか…ちなみに、どういう意味ですか?』
藤と言えば、“あの方”に繋がる。
「もちろんだよ。誰かがあの映像を分析してフェイク映像であることを証明してくれたんだ。どこの誰だかわからないけど、本当に助かったよ」
「良かったぁ」
「泉水さん、あなたがやってくれたことには本当に感謝しています。詩織さんのマネージャーとしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。でも、1つ言っておくと、今回の泉水さんの会見を身代わりになったとか売名行為とか騒ぎ立ててくる連中が必ず現れる。特に、詩織さんを陥れようとした人間は黙っちゃいないだろう。次に何を仕掛けてくるか全くわからない。油断の出来ない状況に変わりはない。それに例え本人の不祥事じゃなくても家族の中に犯罪者がいるとなると何かと問題になるかもしれないしね」
「そうですよね。十分注意します」
日が変わり、朝起きてワイドショーを見てみると、昨日の騒ぎが嘘のように私に関することは一切やっていなかった。
いずみんの会見も何もなかったかったかのように終息していた。
何なのこれ…
プルルルル――プルルルル――
テレビを見ていたら坂本さんから電話がかかってきた。
『もしもし』
『詩織さん、おはようございます。早速なんだけど、今日から仕事に戻って欲しい。ドラマの撮影が午後からあるんだ。大丈夫かい?』
『大丈夫です。でも復帰していいんですか?』
『ドラマだけじゃない。CMの撮影も映画の撮影も再開だし、雑誌も通常通りの販売になった』
『いずみんのおかげですね』
『原因はそれだけじゃないんだ』
『どういうことですか?』
『何か目に見えない得体の知れない巨大な力が働いたんだ。君を守ろうとしてもの凄い権力が動いているみたいなんだ。何か心当たりはあるかい?』
『心当たりですか…』
ない訳ではない。
あるって言えばある。
あの方…
もしかしたら、“あの方”が動いてくれたのかもしれない。
そんなの“あの方”しか出来ない。
『あるんだね?』
『はい…私が“あの方”と呼んでる人だと思うんです』
『実は内緒にしておいてほしいんだけど、ドラマのスポンサーになっている大企業の社長が大学の時の知り合いでね、聞いてみたんだ。「誰が今回の騒動を収めたんだ?」「誰が社長の君に働きかけたんだ?」って聞いてみたんだ』
『何かわかりましたか?』
『彼は言っていたよ。その人の好きな万葉集の一説に【藤波の咲く春の野に延ふ葛の下よし恋ひば久しくもあらむ】と言う詩があると』
『藤ですか…ちなみに、どういう意味ですか?』
藤と言えば、“あの方”に繋がる。
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