パパLOVE

櫻井詩織

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私が水着の写真集のオファーを受けてから２週間後に撮影は開始された。

海の砂浜や色んな場所で撮影をした。

沢山の色やガラの水着を着けて撮影した。

色んなポーズもさせられたし色んな表情もさせられた。

自分でやってて自分が気持ち悪くて仕方なかった。

やるんじゃなかったと後悔したけど何とかやり遂げることが出来た。

それから数ヶ月後に写真集の販売が開始された。

予約の時点でかなりの数が期待されていたけど、販売開始から数週間で８万部が売れ、１ヶ月後には１２万部が売れるという大ヒットになった。

私の水着の何が良くてみんなが買ってくれるのはわからないけど、売れたことは素直に嬉しかった。

「坂本さん、もっとピアノのお仕事がしたいんですけど…」

ある日の仕事帰りの車の中、車を運転する坂本さんに相談してみた。

「わかっています。僕も事務所の方には何度か掛け合ってはいるんですけど、今は会社が与える仕事をしっかりこなすように言われてしまいました。少ししたらピアノの仕事も考えると…」

「それっていつになるんですかね？」

「詩織さん…ハッキリと申し上げます。たぶん会社はあなたにピアノの仕事をさせることは考えていないと思います。人気絶頂で飛ぶ鳥を落とす勢いのあなたには稼がせるだけ稼がせようというのが会社の本音だと思います」

「どうしたらいいと思いますか？」

「僕からも定期的にお願いはしていきます。だから諦めずに頑張って下さい」

「わかりました…」

それからも、私との約束通り、坂本さんは会社側にピアノのことをお願いはしてくれたけど、相手にはされていないようだった。

だから私がしている仕事は、相変わらずCM出演や雑誌のインタビュー、ドラマや映画の出演ばかりだった。

芸能活動をしたい人にとっては贅沢な話だとは思う。

死にものぐるいで努力している人には申し訳ないと思う。

こんなチャンスを手に入れることが出来るのは世界中でもホンの一握りの人間しかいないと思う。

だから仕事のあれがいいこれがいいと言うのは罰当たりだ。