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「あっ…」
「どうかした?」
彼の腕の中で変な声を出してしまったので彼は驚いていた。
ってそうじゃなくて、どこで嗅いだ香りか思い出した。
いずみんの部屋だ。
いずみんの体操着から彼と同じ香りがした。
しかも1度や2度だけじゃなく何度も嗅いだことのある香りだった。
でも何で?
抱き合っただけで、あんなに香りが移るわけないし、しかも体操着で抱き合うとは到底思えないし…。
もしかして彼の家の洗濯機で洗濯してもらってる?
ってそんな訳ないか…
「なっ‥なん…でも…ない…です」
「じゃあ、そろそろ帰ろうか?」
「うん…」
彼はそう言うと歩き出してしまった。
さっきまで手を繋いで歩いていたのに、今は私の手を握ることなく歩いて行ってしまった。
何か私悪いことした?
もしかして私がしつこく抱きついたのが嫌だった?
謝ろうかな?
謝った方がいいかな?
謝った方がいいよね。
そんなことを考えながら東京スカイツリーをあとにして、電車を乗り継いで青梅駅に到着した。
彼の降車駅は別なのにわざわざ青梅駅で1度下車して改札の外まで来てくれた。
「今日はありがとう。スゴい楽しかった」
「わっ‥わた…しも…」
「駅から歩きで帰るの?」
「げっ‥げん…つき…ばい…くで…」
「そうなんだ。気をつけて帰ってね」
「うっ‥うん」
うっかり彼の質問に正直に答えてしまったけど、流石に冗談だと思って真に受けてないよね。
だって、あのいずみんが原付バイクに乗るわけないじゃん。
どう考えてもおかしいでしょ。
「じゃあね、バイバイ」
彼は何事もなかったかのように手を振って私を見送ってくれようとしてくれた。
どうやら私のジョークだと思ってくれたようだ。
「あっ‥あの…あく…しゅ…して…も…いい?」
「全然構わないけど…」
ついファンの時の悪い癖というか願望が口に出てしまった。
そりゃあ、目の前に大好きで推しの舞台俳優がいたらそうなるでしょ。
私は彼の手を握り、彼のことを見つめた。
マジで最高!
色々思うところはあるけど、彼とデート出来たし、キスもしたし、抱きついたし、良いこと尽くしの1日だった。
「あっ‥あり…がと…う…」
それから彼と駅で別れたけど、私は彼が改札を通っていなくなるのを建物の影からバレないように待った。
原付きを駅前の有料駐輪場に預けてあるから、彼がいなくならないと乗って帰れなかった。
でも、なかなか彼はその場を離れようとしなかった。
どうやら誰かと電話でお喋りをしているようだった。
一体誰と話しているんだろう?
結構な長電話だけど…
それから5分が経過した頃、彼は電話をやめて改札を通っていなくなった。
ようやく原付きに乗って帰ることが出来た。
帰宅途中で薬局に寄って、風邪薬とスポーツ飲料とゼリーを買った。
いずみんの夕食は…
申し訳ないけど、私には鍋焼きうどんしか作れない。
今日だけは我慢してもらおう。
「どうかした?」
彼の腕の中で変な声を出してしまったので彼は驚いていた。
ってそうじゃなくて、どこで嗅いだ香りか思い出した。
いずみんの部屋だ。
いずみんの体操着から彼と同じ香りがした。
しかも1度や2度だけじゃなく何度も嗅いだことのある香りだった。
でも何で?
抱き合っただけで、あんなに香りが移るわけないし、しかも体操着で抱き合うとは到底思えないし…。
もしかして彼の家の洗濯機で洗濯してもらってる?
ってそんな訳ないか…
「なっ‥なん…でも…ない…です」
「じゃあ、そろそろ帰ろうか?」
「うん…」
彼はそう言うと歩き出してしまった。
さっきまで手を繋いで歩いていたのに、今は私の手を握ることなく歩いて行ってしまった。
何か私悪いことした?
もしかして私がしつこく抱きついたのが嫌だった?
謝ろうかな?
謝った方がいいかな?
謝った方がいいよね。
そんなことを考えながら東京スカイツリーをあとにして、電車を乗り継いで青梅駅に到着した。
彼の降車駅は別なのにわざわざ青梅駅で1度下車して改札の外まで来てくれた。
「今日はありがとう。スゴい楽しかった」
「わっ‥わた…しも…」
「駅から歩きで帰るの?」
「げっ‥げん…つき…ばい…くで…」
「そうなんだ。気をつけて帰ってね」
「うっ‥うん」
うっかり彼の質問に正直に答えてしまったけど、流石に冗談だと思って真に受けてないよね。
だって、あのいずみんが原付バイクに乗るわけないじゃん。
どう考えてもおかしいでしょ。
「じゃあね、バイバイ」
彼は何事もなかったかのように手を振って私を見送ってくれようとしてくれた。
どうやら私のジョークだと思ってくれたようだ。
「あっ‥あの…あく…しゅ…して…も…いい?」
「全然構わないけど…」
ついファンの時の悪い癖というか願望が口に出てしまった。
そりゃあ、目の前に大好きで推しの舞台俳優がいたらそうなるでしょ。
私は彼の手を握り、彼のことを見つめた。
マジで最高!
色々思うところはあるけど、彼とデート出来たし、キスもしたし、抱きついたし、良いこと尽くしの1日だった。
「あっ‥あり…がと…う…」
それから彼と駅で別れたけど、私は彼が改札を通っていなくなるのを建物の影からバレないように待った。
原付きを駅前の有料駐輪場に預けてあるから、彼がいなくならないと乗って帰れなかった。
でも、なかなか彼はその場を離れようとしなかった。
どうやら誰かと電話でお喋りをしているようだった。
一体誰と話しているんだろう?
結構な長電話だけど…
それから5分が経過した頃、彼は電話をやめて改札を通っていなくなった。
ようやく原付きに乗って帰ることが出来た。
帰宅途中で薬局に寄って、風邪薬とスポーツ飲料とゼリーを買った。
いずみんの夕食は…
申し訳ないけど、私には鍋焼きうどんしか作れない。
今日だけは我慢してもらおう。
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