349 / 441
349
しおりを挟む
「なん…です…か?」
「うぅん、何でもない。それより昨日も舞台を観に来てくれたんだね。いつもありがとう。今度来るなら言って。チケットくらい僕が用意してあげるからさ」
私はその言葉に静かに頷いた。
それから少しして朝のホームルームが始まった。
時間が経つにつれ、少しずつ冷静さを取り戻していった。
ようやくこの状況を把握することが出来た。
つまり、舞台俳優の西島彰はA高校の学生でいずみんと同じクラス。
そんでもって、いずみんと彼は席が隣同士ということ。
そして、いずみんが舞台を観に行くようになったのは彼が要因だということ。
それだけならいい。
彼がクラスメイトで舞台俳優をしているから、誘われて観に行っただけならいい。
でも、いずみんが彼に好意を抱いていているなら、話しは別。
私だって彼のことが…
私の方がずっと前から彼を知っていて、いずみんよりもずっと前から彼を想っていた。
いずみんのことは世界で1番大好きだけど、彼のことだけは譲れない。
だって私が生まれて初めて好きになった男性なんだから。
朝のホームルームが終わり、1時間目の理科の授業が理科室で行われるということで、周りのクラスメイトは移動を始めた。
「準備できた?」
移動の支度にもたついていると、うしろから声をかけられた。
振り返ると、先ほどいずみんの席を教えてくれた男子生徒だった。
「もっ‥もう…ちょっ…とで…」
「慌てなくて大丈夫だよ。待ってるから」
隣の席の彼が笑顔でそう言ってくれた。
それだけなのに嬉しくて胸がときめいた。
「おっ‥おま…たせし…まし…た」
「櫻井さん、荷物持ってあげる。貸して」
彼はそう言うと私の教科書とノートを持ってくれた。
「彰は相変わらず櫻井さんには優しいよな」
「そうかな?」
「そうだよ。見てればわかるよ」
「飯田くんだってそうじゃないか」
この人、飯田くんて言うんだ。
いずみんはあまり学校のことを話したがらなかった。
だから彼と飯田くんの話しを聞いたことは1度もない。
何で隠していたんだろう?
隠す必要なんてないはずなのに…。
もし、いずみんが話したがらない理由があるとすれば、誰かに嫌がらせやイジメにあっていた可能性がある。
「うぅん、何でもない。それより昨日も舞台を観に来てくれたんだね。いつもありがとう。今度来るなら言って。チケットくらい僕が用意してあげるからさ」
私はその言葉に静かに頷いた。
それから少しして朝のホームルームが始まった。
時間が経つにつれ、少しずつ冷静さを取り戻していった。
ようやくこの状況を把握することが出来た。
つまり、舞台俳優の西島彰はA高校の学生でいずみんと同じクラス。
そんでもって、いずみんと彼は席が隣同士ということ。
そして、いずみんが舞台を観に行くようになったのは彼が要因だということ。
それだけならいい。
彼がクラスメイトで舞台俳優をしているから、誘われて観に行っただけならいい。
でも、いずみんが彼に好意を抱いていているなら、話しは別。
私だって彼のことが…
私の方がずっと前から彼を知っていて、いずみんよりもずっと前から彼を想っていた。
いずみんのことは世界で1番大好きだけど、彼のことだけは譲れない。
だって私が生まれて初めて好きになった男性なんだから。
朝のホームルームが終わり、1時間目の理科の授業が理科室で行われるということで、周りのクラスメイトは移動を始めた。
「準備できた?」
移動の支度にもたついていると、うしろから声をかけられた。
振り返ると、先ほどいずみんの席を教えてくれた男子生徒だった。
「もっ‥もう…ちょっ…とで…」
「慌てなくて大丈夫だよ。待ってるから」
隣の席の彼が笑顔でそう言ってくれた。
それだけなのに嬉しくて胸がときめいた。
「おっ‥おま…たせし…まし…た」
「櫻井さん、荷物持ってあげる。貸して」
彼はそう言うと私の教科書とノートを持ってくれた。
「彰は相変わらず櫻井さんには優しいよな」
「そうかな?」
「そうだよ。見てればわかるよ」
「飯田くんだってそうじゃないか」
この人、飯田くんて言うんだ。
いずみんはあまり学校のことを話したがらなかった。
だから彼と飯田くんの話しを聞いたことは1度もない。
何で隠していたんだろう?
隠す必要なんてないはずなのに…。
もし、いずみんが話したがらない理由があるとすれば、誰かに嫌がらせやイジメにあっていた可能性がある。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
記憶屋
卯月青澄
ライト文芸
僕は風間。
人の記憶(思い出)を消す事の出来る記憶屋。
正しく言うと記憶、思い出を一時的に取り出し、『記憶箱』と呼ばれる小さな木箱に閉まっておく事が出来るというもの。
でも、それはいつかは本人が開けなければならない箱。
僕は依頼のあった人物に会いに行き、記憶を一時的に封印するのが仕事。
そして今日もこれから依頼人に会いに行く。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる