パパLOVE

卯月青澄

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「校長、お願いします」

「わかった」

様子からして、担任が校長から私に厳重注意をするか、退学を進めるように話したのだろう。

「櫻井さん、ピアノの練習はどうなんだい?」

「ピアノですか?」

「あぁ、そうだ。来月にはコンクールがあるそうじゃないか?」

「えぇ、そうですけど」

「頑張って優勝を狙って欲しいな」

「この前のコンクールは事故で参加出来なくて悔しい思いをしたので今回は絶対に優勝します」

「頑張ってくれよ。期待しているからね」

「ありがとうございます」

あれ?

怒られるんじゃないの?

「それじゃあ、話しは以上だ。戻っていいよ」

「はっ‥はい。失礼します」

「ちょっと待ちなさい」

椅子から立ち上がり、その場から離れようとしたら担任に腕を掴まれて止められた。

「校長、彼女の処分をお願いしたじゃないですか!」

「五月女くん、落ち着きなさい。別に櫻井さんは何か問題を起こした訳ではないんだ。寛大な目で見てあげなさい」

「だからって、彼女は学校には殆んど来ていませんし、来ても授業もまともに聞いていないような状況です」

「五月女くん、今のは聞かなかったことにするよ。そしてこのことは、今後口にしないように」

「何でですか?意味がわかりません」

「五月女くん、これからも教師の仕事を続けていきたいかい?」

「もちろんです」

「だったら私の言うことを聞きなさい。私も君に教師を続けてもらいたい」

「だからって…」

「これが政治ってもんなんだよ」

「わかりました…」

どういうことなの?

政治って何?

何で私の処分と政治が関係あるの?

「櫻井さん、手間を取らせてしまって申し訳なかったね」

「いいえ…」

意味がわからないけど、何か見えない力が働いているのだろうか?

でも私にはそんな知り合いはいない。


次の日から3年、2年、1年の順番で教室の机と椅子が全て新しいものに交換されていった。

音楽室、理科室などの教室も全て新しい椅子と机に交換された。

職員室のものも新しいものにされ、職員室と校長室に至ってはエアコンも最新式のものに交換された。

何故か私の教室だけ校長室と同じ最新式のエアコンと空気清浄機が設置された。

私たちの周りで一体何が起こっているのだろう?

これも政治の力というものなんだろうか?

だとしたら、大人の世界って怖いな…。
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