パパLOVE

卯月青澄

文字の大きさ
上 下
345 / 441

345

しおりを挟む
「そう…じゃあ私は先に帰るけど、気をつけてね」

「うん」

いずみんのことが心配だったけど、劇場の前で渋々別れた。

帰りの電車の中で、色々考え事をしていた。

つまり、いずみんが週末バイトを休んでいたのは舞台を観に行くためだったということ。

大好きな「南風」を休んでまで舞台を観に行くということは、相当ハマってしまっているということ。

いずみんを変えたのは舞台ということになるけど、一体、舞台の何に魅了されハマってしまったのだろう?

出演する役者さんなのだろうか?

それとも舞台という演劇の世界感の虜になってしまったのだろうか?

正解などわかるはずもないけど、いずみんがここまで何かに夢中になったのは生まれて初めてということになる。

それからもいずみんは夏休みの間は平日は「南風」でバイトをして、日曜日は舞台を観に行っていた。

夏休みに入ってから、6回以上は舞台を観に行っているようだった。

また、逆に私は夏休みに入ってから舞台を観に行けたのは、舞台初日と8月に入ってからのたった2回だけだった。

それでも舞台を観に行けば、いずみんと鉢合わるのはごく自然な展開だった。

いずみんは舞台に行く時は決まって黒の帽子に地味めのTシャツ、ベージュのスラックスに背中にリュックを身に着けていた。

まるで変装でもしているかのようで不思議でしかなかった。

それに一見すると、男の子と間違ってしまう。

せっかく外出して舞台を観に来てるのだから、もっとオシャレをしたらいいのにと思ってしまう。


夏休みが終わると、私もいずみんも普通に学校に通っていた。

私は安寧寺に原付きでて学校に向かう。

授業には出てるけど、先生の話は全く聞いていなかった。

居眠りをしている方が多かったかもしれない。

そして次第に学校に来ること、授業を受けるのが嫌になっていき、館山にいた時と同じようにサボるようになっていた。

学校に行くのは3日に1度、学校に来ても授業は居眠りをし、注意をされたら教室を出て行って屋上でサボった。

もちろん、そんな私を快く思っていない先生もいて、時々プレッシャーをかけてくる。

そんな脅しにのるほど私はやわじゃないけど。

そんなある日、担任に職員室に呼び出された。

職員室に入るとお客様用の個室に通された。

中に入ると校長先生がいて、ソファーに座らされた。

隣には担任が座り、テーブルを挟んで校長が座って三者面談みたいな形になった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

処理中です...