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櫻井詩織
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3日後。
私は電車を乗り継いで都内にある劇場に向かった。
今私は彼が出演する舞台が行われる劇場の前に来ていた。
彼を生で見られると思うと胸が高鳴った。
ドキドキが止まらなかった。
チケットはインターネットで購入していたので開場時間になるとスムーズに中に入ることが出来た。
それから自分の席を探してついた席は真ん中辺りでそこそこ見やすそうな場所だった。
舞台が始まる15分前になったけど、席は6割程度しか埋まっていなかった。
どうやらそれほど人気のある舞台ではないようだった。
舞台は始まった。
彼が出演する舞台は時代劇ものでアクションシーン満載だという情報は頭の中に入っていた。
いざ始まってみると出演者の芝居の上手さやアクションシーンの激しさ、照明や音響などの演出、臨場感を味わうことが出来て本気で驚かされた。
舞台ってスゴい。
生で観ると感動する。
そんな感情に浸っていると、突然彼が登場した。
彼の役は主人公を助けるクールな剣士役でもの凄くカッコ良かった。
アクションシーンもキレッキレの動きとスピードで一瞬にして魅了された。
彼の出番はそれ程多くはなかったけど、十分満足出来た。
彼のファンになったのは勿論のことだけど、舞台というものにも感服させられた。
絶対にまた観に来ようと思わされた。
家に帰ってからも彼の舞台での姿が頭から離れず、彼のことばかり考えていた。
何をしていても彼の顔が目に浮かんで会いたくて苦しくなった。
何この感情?
もしかして…
私、恋してる?
まさか…
男嫌いの私が男性に恋心を抱いている?
信じられない…
でも体は正直で、彼のことを考えていると胸が苦しく食欲も不思議となくなっていった。
そんな私の異変にいち早く気づいたのは、いずみんだった。
彼のことを考えてボォッーとしている私、ご飯をあまり食べない私を見て変だと思ったのだろう。
いずみんはとても心配そうな顔をして色々と聞いてきた。
だからと言って本当のことを言えるはずもなく、体調が悪いと言うしかなかった。
そうして数日後に新しい学校生活が始まった。
私のクラスは3年5組で就職クラス。
音大に進学も考えたことはあったけど、うちの家庭は私が大学に行けるほど裕福ではなかったし、母にこれ以上苦労はかけたくなかったので進学は諦めた。
諦めたけど、プロのピアニストになる夢を諦めた訳ではない。
音大に行かなくてもプロに行く道は他にいくらでもある。
だから私はその別の道でプロのピアニストになるつもり。
まずは、私をプロの道に導いてくれる人を探していた。
でもそんな人はなかなか見つからなかった。
ネットを使ってピアノの有名な先生を調べ上げて、私の専属の先生になってくれるように頼んだ。
結果はことごとく断られた。
ハッキリ言ってアテがなくなったというのが正直なところだった。
また、学校では特に仲の良い友達は出来なかった。
当然と言えば当然だ。
3年にもなれば大抵が仲の良いグループが出来上がっているもので、あとから転校して来た私みたいなのが入る場所などないのが現状だった。
それに金髪にしていたせいなのか、不良だと思われているらしく、誰も話しかけては来なかった。
普通なら転校生には優しく話しかけてくるものだと思っていたので、その塩対応には驚かされた。
そういう訳で、学校では基本1人でいた。
つまらない授業も居眠りはしているけど、サボらないで受けた。
しばらくは授業もキチンと受けて大人しくしていようと思っていたからだ。
私は電車を乗り継いで都内にある劇場に向かった。
今私は彼が出演する舞台が行われる劇場の前に来ていた。
彼を生で見られると思うと胸が高鳴った。
ドキドキが止まらなかった。
チケットはインターネットで購入していたので開場時間になるとスムーズに中に入ることが出来た。
それから自分の席を探してついた席は真ん中辺りでそこそこ見やすそうな場所だった。
舞台が始まる15分前になったけど、席は6割程度しか埋まっていなかった。
どうやらそれほど人気のある舞台ではないようだった。
舞台は始まった。
彼が出演する舞台は時代劇ものでアクションシーン満載だという情報は頭の中に入っていた。
いざ始まってみると出演者の芝居の上手さやアクションシーンの激しさ、照明や音響などの演出、臨場感を味わうことが出来て本気で驚かされた。
舞台ってスゴい。
生で観ると感動する。
そんな感情に浸っていると、突然彼が登場した。
彼の役は主人公を助けるクールな剣士役でもの凄くカッコ良かった。
アクションシーンもキレッキレの動きとスピードで一瞬にして魅了された。
彼の出番はそれ程多くはなかったけど、十分満足出来た。
彼のファンになったのは勿論のことだけど、舞台というものにも感服させられた。
絶対にまた観に来ようと思わされた。
家に帰ってからも彼の舞台での姿が頭から離れず、彼のことばかり考えていた。
何をしていても彼の顔が目に浮かんで会いたくて苦しくなった。
何この感情?
もしかして…
私、恋してる?
まさか…
男嫌いの私が男性に恋心を抱いている?
信じられない…
でも体は正直で、彼のことを考えていると胸が苦しく食欲も不思議となくなっていった。
そんな私の異変にいち早く気づいたのは、いずみんだった。
彼のことを考えてボォッーとしている私、ご飯をあまり食べない私を見て変だと思ったのだろう。
いずみんはとても心配そうな顔をして色々と聞いてきた。
だからと言って本当のことを言えるはずもなく、体調が悪いと言うしかなかった。
そうして数日後に新しい学校生活が始まった。
私のクラスは3年5組で就職クラス。
音大に進学も考えたことはあったけど、うちの家庭は私が大学に行けるほど裕福ではなかったし、母にこれ以上苦労はかけたくなかったので進学は諦めた。
諦めたけど、プロのピアニストになる夢を諦めた訳ではない。
音大に行かなくてもプロに行く道は他にいくらでもある。
だから私はその別の道でプロのピアニストになるつもり。
まずは、私をプロの道に導いてくれる人を探していた。
でもそんな人はなかなか見つからなかった。
ネットを使ってピアノの有名な先生を調べ上げて、私の専属の先生になってくれるように頼んだ。
結果はことごとく断られた。
ハッキリ言ってアテがなくなったというのが正直なところだった。
また、学校では特に仲の良い友達は出来なかった。
当然と言えば当然だ。
3年にもなれば大抵が仲の良いグループが出来上がっているもので、あとから転校して来た私みたいなのが入る場所などないのが現状だった。
それに金髪にしていたせいなのか、不良だと思われているらしく、誰も話しかけては来なかった。
普通なら転校生には優しく話しかけてくるものだと思っていたので、その塩対応には驚かされた。
そういう訳で、学校では基本1人でいた。
つまらない授業も居眠りはしているけど、サボらないで受けた。
しばらくは授業もキチンと受けて大人しくしていようと思っていたからだ。
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