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青梅市に引っ越してきて感じたことがあった。
ここって館山市よりも田舎かも。
私の大好きな海も海岸も防波堤もない。
キレイな小川が流れているような、田んぼと山に囲まれたド田舎だった。
でも良いところもある。
自然いっぱいの公園はあるし、キレイな滝もあるし、神社仏閣も見どころ満載だし、夜景のきれいなスポットもある。
デパートとか若者が遊ぶようなところは何もないけど、スゴくのどかで空気も美味しい。
こういうところは嫌いじゃない。
引っ越してきて直ぐにイメチェンをした。
髪を金髪にしてみた。
前からやってみたかったと言うのもあるし、今度の女子校が校則で髪を染めるのを禁止にしていなかったので金髪に染めてみた。
前の高校では出来なかったので嬉しくて仕方なかった。
また、学校が始まるまで日数があったので原付きで街の散策に出掛けた。
私が通うT女子校も見てきた。
自宅から原付きで30分弱というところにあった。
たぶん原付バイクでの通学は禁止されているから、駐輪場を探さなくてはいけなかった。
しばらく学校の周りを探していると歴史を感じさせるような立派なお寺を見つけた。
見た感じ、由緒あるお寺のような佇まいだった。
そしてその一角には駐輪スペースがあった。
直感でここにしようと思った。
とりあえず本堂に行ってお参りをすることにした。
参拝の仕方はわからないので、お賽銭を入れてから手を合わせて仏様に「学校が始まったら原付きを置かして下さい」と声を出してお祈りをした。
「いいよ」と言われたような気がした。
仏様がそう言うなら、お言葉に甘えさせて頂きます。
お参りを終えて戻ろうとすると、物陰から出て来た坊主頭の40代くらいのおじさんに声をかけられた。
背は高くガッチリとした体格で格闘技でもしてそうな風貌だった。
よくテレビで観るお寺の住職が着ているような黒い袈裟というものを見にまとっていた。
「こんにちは」
「こんにちは…」
「お見受けしたところ、あなたはもしかして、櫻井詩織さんではないですか?」
物腰の柔らかい優しそうな人だった。
立ち居振る舞いからして立派な住職だというのはわかった。
「そうですけど、どうして私のことを?」
「私もピアノが好きで、コンクールとか行くんですよ。そこであなたの姿を何度か拝見したことがありまして」
「そうなんですね…」
「あなたの演奏は本当に素晴らしい。人に感動と安らぎを与えてくれる。そういう人はなかなかいないんです」
褒められて悪い気はしなかった。
「ありがとうございます」
「12月のコンクールには出場しなかったんですね?」
「ちょっと事故っちゃいまして」
「そうだったんですか…でも、あなたなら次も優勝できます。そして将来はプロのピアニストになって下さい。応援しています」
「そうなれるよう頑張ります」
「それならば許可します。私からの餞別がわりです」
「はい…」
何を言ってるんだこの人は…意味がわからない。
とりあえず一礼をしてからその場を去った。
ここって館山市よりも田舎かも。
私の大好きな海も海岸も防波堤もない。
キレイな小川が流れているような、田んぼと山に囲まれたド田舎だった。
でも良いところもある。
自然いっぱいの公園はあるし、キレイな滝もあるし、神社仏閣も見どころ満載だし、夜景のきれいなスポットもある。
デパートとか若者が遊ぶようなところは何もないけど、スゴくのどかで空気も美味しい。
こういうところは嫌いじゃない。
引っ越してきて直ぐにイメチェンをした。
髪を金髪にしてみた。
前からやってみたかったと言うのもあるし、今度の女子校が校則で髪を染めるのを禁止にしていなかったので金髪に染めてみた。
前の高校では出来なかったので嬉しくて仕方なかった。
また、学校が始まるまで日数があったので原付きで街の散策に出掛けた。
私が通うT女子校も見てきた。
自宅から原付きで30分弱というところにあった。
たぶん原付バイクでの通学は禁止されているから、駐輪場を探さなくてはいけなかった。
しばらく学校の周りを探していると歴史を感じさせるような立派なお寺を見つけた。
見た感じ、由緒あるお寺のような佇まいだった。
そしてその一角には駐輪スペースがあった。
直感でここにしようと思った。
とりあえず本堂に行ってお参りをすることにした。
参拝の仕方はわからないので、お賽銭を入れてから手を合わせて仏様に「学校が始まったら原付きを置かして下さい」と声を出してお祈りをした。
「いいよ」と言われたような気がした。
仏様がそう言うなら、お言葉に甘えさせて頂きます。
お参りを終えて戻ろうとすると、物陰から出て来た坊主頭の40代くらいのおじさんに声をかけられた。
背は高くガッチリとした体格で格闘技でもしてそうな風貌だった。
よくテレビで観るお寺の住職が着ているような黒い袈裟というものを見にまとっていた。
「こんにちは」
「こんにちは…」
「お見受けしたところ、あなたはもしかして、櫻井詩織さんではないですか?」
物腰の柔らかい優しそうな人だった。
立ち居振る舞いからして立派な住職だというのはわかった。
「そうですけど、どうして私のことを?」
「私もピアノが好きで、コンクールとか行くんですよ。そこであなたの姿を何度か拝見したことがありまして」
「そうなんですね…」
「あなたの演奏は本当に素晴らしい。人に感動と安らぎを与えてくれる。そういう人はなかなかいないんです」
褒められて悪い気はしなかった。
「ありがとうございます」
「12月のコンクールには出場しなかったんですね?」
「ちょっと事故っちゃいまして」
「そうだったんですか…でも、あなたなら次も優勝できます。そして将来はプロのピアニストになって下さい。応援しています」
「そうなれるよう頑張ります」
「それならば許可します。私からの餞別がわりです」
「はい…」
何を言ってるんだこの人は…意味がわからない。
とりあえず一礼をしてからその場を去った。
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