パパLOVE

卯月青澄

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「どうですか?」

「嫌いではないけど好きでもない。でも、普通に話しは出来る」

「それは良かった。嫌いではないということは、可能性は…」

「何か言った?言いたいことがあるならハッキリ言って。グジグジした男はもっと嫌いだから」

「うぅん、何でもない。とにかく僕が勝ったら食事に行きましょう?」

「いいわよ。あなたが勝つことなんて100%あり得ないけど」

「なら逆にあなたが勝ったら何かプレゼントしたいな。例えば新しい原付きのバイクとか」

「マジで?」

「はい。一応聞いときますけど、何のバイクが欲しいですか?」

「そうだなぁ…」

私は今一番欲しいバイクの画像を彼に見せた。

今の原付きは中古で買ってだいぶ乗り回しているから、将来的には新車の原付きを買うつもりだった。

だからって、そんな馬鹿げた話を信じるほど私だってバカじゃない。

「かわいい原付きバイクですね。ヤマハならうちの親の会社と繋がりがあるから最新式のものをプレゼント出来ますよ」

「あっそう。じゃあ、私行くわね」

「じゃあ、駐車場まで」

それから駐車場まで一緒に歩いて行くと、黒のロールスロイスが停まっていた。

この車って何千万円するってテレビで言ってたのを聞いたことがある。

さすがお金持ち。

「じゃあね」

原付バイクにまたがり、エンジンをかけて出発しようとした。

「ヘルメットはつけないんですか?」

「何ガキみたいなこと言ってるの?こんな田舎の街で警察に捕まる訳ないじゃん」

「そういう問題じゃなくて」

「今、私のこと不良だと思ったでしょ?」

「思ってませんよ」

「ピアノを弾いている時と印象が全然違うでしょ?よく言われるんだ。学校でも不良だと思われてるし。でも、タバコを吸ったり警察の厄介になることはしてないわよ」

「そのギャップが良いんですけどね」

「何それ?意味わかんない。バカじゃないの」

お金持ちのボンボンが言うことは今ひとつわからない。

やっぱりこの人も私とは生きる世界が違い過ぎるってことなのよね。

「じゃあ」

「じゃあね、バイバイ」

彼は手を振って私を見送ってくれた。

それにしても、彼は何しに海岸に来たんだろう。

やっぱり金持ちでも頭がバカな人っているんだ。
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