パパLOVE

卯月青澄

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見た目は色白で痩せていて、決して健康そうとは言えない。

でも、中々のイケメンでモテそうだ。

そんな彼と顔見知りな理由はピアノ繋がりだった。

彼もまた小学生の時からピアノをやっていて、色んなコンクールに出場していた。

だけど、私が優勝するものだから彼はいつも準優勝。

私がいる限り彼は1番にはなれないだろう。

1番にはなれないけど、日本で3本の指に入るような資産家の息子で、顔も良いので女性ファンは沢山いた。

ピアノの貴公子とかピアノ王子とか言われていた。

男嫌いの私にとっては、そう言うのはホントに気持ち悪いの何ものでもないのだけど。

「もう少しでクリスマスコンクールね」

「今度はあなたに勝って優勝しますよ」

「やれるものならやってみなよ。私は負けないけど」

「僕が勝ったらデートをしてくれませんか?」

「何で私があなたとデートを?」

「駄目ですか?」

「そういう冗談はあなたと同じお金持ちのお嬢様に言った方が良いんじゃないの?白川家のお嬢様とか」

白川家も一条家と並ぶ大金持ちの家系で、1度だけその姿を拝見したことがあった。

まさに令嬢という名に相応しいくらいの品格と美貌を兼ね備えていた。

私とは生きる世界が全く違う別次元の女性だった。

「麗子さんとは親同士が決めたいいなずけに過ぎません」

「でも将来は結婚するんでしょ?」

「三枝さんだったら親が決めた結婚相手と絶対に結婚しますか?」

「私?よくわかんないけど、私だったらゴメンだね。私の結婚相手は私が決める。でも、残念だけど私が好きになる男性は一生現れないと思うけど」

「どういう意味ですか?」

「私は男の人が嫌いなの。だから高校も女子校を選んだ。殆んど行ってないから女子校もヘッタクレもないけど。とにかく男子と子供が大嫌いなの」

「なら僕のことも嫌いですか?」

「そうね…」

嫌な感じはしなかった。

今まで男子と話しているだけで生理的に受け付けないのか気分が悪くなることが大抵だった。

でも、目の前の彼と話していても何ともなかった。

だからと言って、彼がタイプとか好きとかそういうことではなかった。

単に彼が男っぽくないというか、女性っぽいというか、中性的な感じがするからなのかもしれない。
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