パパLOVE

卯月青澄

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次の日から私は「南風」をお休みした。

その代わりに芽衣と沙弥が来始めたと、みゆきさんからLINEが入って来た。

また、先日の私とみゆきさんとのやり取りを一部始終見ていたいずみんは、自分も「南風」を休むと言い出した。

でも、それだけは許さなかった。

だっていずみんにとっては初めて見つけられた自分の居場所だったんだから、私のために犠牲になる必要など1%もなかった。

だから無理矢理に「南風」には行かせた。

行ってくれて本当に良かったと思う。

私が「南風」に行かなくなってから、いずみんは毎日「南風」から料理を持たされて帰って来た。

たぶんいずみんが作ったものなのだろうけど…。

初めて持って帰ってきたのは新作のスパゲッティ?のようだった。

どうやら、新商品の試作品と言ったところだろう。

「マズっ」

何か美味しくない。

美味しくないと言うより味が濃ゆい。

「あらホントね。ちょっと濃いんじゃないかしらね」

私が不味そうに食べていたのを見ていた仕事前の母が味見をして言った。

「お母さんもそう思うよね。私の舌がおかしいんじゃないよね?」

「おっ‥おい…しく…ない?」

母の耳元で呟いていると、不安そうな顔でいずみんが聞いてきた。

「いずみんが作ったの?」

「えっ…うッ‥うん…」

「美味しくなくないよ。すっ‥すごく美味しい。ねぇ、お母さん?」

「そうね、好きな人には好きな味よね」

それってつまり、濃い味が好きな人ってことだよね。

「むっ‥むり…して…たべな…くて…いい…よ」

「だから、決して不味いと言う訳じゃないから」

「たっ‥だった…ら…ぜん…ぶ…のこさ…ずた…べて…」

「そっ‥そうだね。おっ‥おいしそうだなぁ…」

マジで…

これを全部食べろって言うの?

余計なことを言うんじゃなかった。

こんなに美味しくないスパゲッティを食べたのは初めて。

それから母と一緒に何とか頑張って全てを食べ終えた。

結果、お腹を下した。

これがしばらく続くと思うと心が萎えた。

それから次の日も更に次の日も、いずみんは「南風」から帰ってくるとお土産に色んな新商品の試作品を持ち帰ってきてくれた。

いずみんがせっかく作ってきてくれた料理を無駄にはしたくなかったので、母に頼んで一緒に食べた。

どうやって作ればこんなに美味しくない料理が作れるのか不思議で仕方なかったし、こんなものを新商品として売り出すのは絶対に止めたほうがいい。

母は口には出さなかったけど、お腹の具合が悪そうだったのは見ていて直ぐにわかった。
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