パパLOVE

卯月青澄

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また、みゆきさんとマスターは月に1度はお店を休みにして、私たちを旅行に連れて行ってくれた。

山にキャンプに行ったり、海に行って美味しい海鮮料理を食べて夕日を見た。

遊園地にも水族館にも東京スカイツリーにも連れて行ってもらった。

それに私の大好きな東京ディズニーランドにもUSJにも連れて行ってもらった。

これだけ色んなところに連れて行ってもらって、いつも一緒にいるなんて、本当の家族のような存在だった。

私たちみんなが、みゆきさんとマスターを大好きだし、私たちも大事にしてもらい可愛がってもらった。

もう1つの私たちの家族だった。

私たちの青春は「南風」だし、マスターとみゆきさんと一緒に過ごした日々だった。

もちろん、いずみんも一緒に行った。

生まれた時からいずみんを見てきたけど、今が一番笑顔が多いし、幸せそうだった。

そんないずみんだったけど、いずみんが一番懐いていたのはマスターだった。

出掛ける時はいつもマスターの近くにいて、マスターから離れなかった。

みゆきさんが嫉妬するくらいマスターを独り占めしていた。

いずみんにとってマスターは父親みたいな存在だったに違いない。

なぜなら、私もいずみんも特に父親に可愛がってもらった記憶がない。

私たちが小学生の頃から母と父は仲が悪く、父は休みの日でも家にはいないで、どこかに行ってしまっていた。

だから家族で出掛けたり、旅行に行ったことは1度もない。

だから尚更、いつも一緒にいてくれて、休みになる度に旅行に連れて行ってくれるマスターを父親のように慕うのは当然のことなのかもしれない。

逆にマスターもいずみんを誰よりも可愛がっていたように感じた。

きっと同じようにしているつもりなんだろうけど、いずみんに対しては隠しきれない愛を感じた。


今日は土曜日。

ピアノ教室は夕方からなので、私のバイクのうしろにいずみんを乗せて一緒に芽衣と沙弥を迎えに行ってから「南風」に向かった。

この日は休日ということもあって、家族連れのお客様が沢山来ていた。

その中には赤ちゃん連れの家族や、妊婦さんの夫婦も来られていた。

みゆきさんは私と違って小さい子供や赤ちゃんが好きで、そういうお客様が店に来られると話しかけたりする。

対象的にマスターは小さい子供や赤ん坊が好きではなかった。

そういう家族連れが来ると怪訝そうな顔をしているのを何度か目撃した。

私も子供が大嫌いなので、子供好きのみゆきさんの気持ちは全くわからないし、子供や赤ん坊を見ているだけで体が痒くなる。

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