パパLOVE

卯月青澄

文字の大きさ
上 下
302 / 441

302

しおりを挟む
「まったく…聞いているこっちが恥ずかしくなる。でも、ありがとう。だったら僕も言わせてもらうよ。僕には同じ道を一緒に歩んでくれる仲間は沢山いるかもしれない。でも、同じ道を共に立って、楽しさ、悲しみ、幸せ、痛み、苦しみを分かち合っていけるのは世界でたった1人しかいない。そんな友達に僕は言いたい。ずっと一緒に一生、生きて行こう。なぁ、月」

「あぁ、そうやな。お前が嫌やって言うたってわしは離れるつもりはあれへんけどな。一生お前のそばにおるからな。覚悟しときや」

「そうやな。僕も一生、月を離さへんからな。覚悟しときや」

「何やそのけったいな関西弁は。でも、おもろいから許したるわ」

「おおきに」

その日は久しぶりに月を自転車のうしろに乗せて帰った。

いつもより2人とも口数が多いような気がした。


6年後――

今、僕はプロのサッカーチームに所属している。

高校を卒業して直ぐにプロ契約をしてJ1リーグの東京WÇに入団し試合に出させてもらっていた。

去年は得点王という輝かしい成果をあげられた。

また、遡ること数年前の高校時代、僕のF高校は全国サッカー大会で3連覇を果たした。

いつもベンチには結菜がいてくれた。

そして結菜との約束を守ることが出来た。

今日はワールドカップの予選の試合がある。

数日前に開催国のスペインにやって来ていた。

今は宿泊ホテルからサッカーの試合会場に向かっているバスの中。

「快斗、そのぬいぐるみだいぶ汚れてきてるんじゃないか?」

「いつも試合がある度に、一緒に連れて行ってますからね」

隣の席に座っている日本代表のキャプテンの武田さんに話しかけられた。

「洗ったほうがいいんじゃないか?それより背中の部分が破れてるみたいだぞ」

「えっ‥本当ですか?」

ジェラートピケのクマのぬいぐるみの背中を見てみると、縫い目の部分が裂けて中の綿が少し出てしまっていた。

中に綿を押し込もうと指で突いていると変な感触がした。

中に何か入っている?

慌てて指を入れて中に入っているものを取り出した。

それは小さく折りたたまれている手紙のようだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

記憶屋

卯月青澄
ライト文芸
僕は風間。 人の記憶(思い出)を消す事の出来る記憶屋。 正しく言うと記憶、思い出を一時的に取り出し、『記憶箱』と呼ばれる小さな木箱に閉まっておく事が出来るというもの。 でも、それはいつかは本人が開けなければならない箱。 僕は依頼のあった人物に会いに行き、記憶を一時的に封印するのが仕事。 そして今日もこれから依頼人に会いに行く。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

処理中です...