286 / 404
286
しおりを挟む
次の日から、死にものぐるいで練習に明け暮れた。
チーム全体の能力も上げることはもちろんだったけど、僕自身のスキルも磨いた。
そのために、地元の大人のサッカークラブに入ってプレーをさせてもらった。
最初は自分よりも身長が大きい人ばかりだったし、力も中学生の僕よりも格段に上で最初は慣れるまで大変だった。
でも、慣れてしまえばなんてことなかった。
次第に僕はその中でも頭角を現しテクニックや試合運びでは誰にも負けないくらいになっていった。
今ではレギュラーメンバーに選ばれて試合にも出させてもらっている。
大人の中でサッカーをプレイすることは本当に勉強になったし、もの凄く良い経験になった。
そして時は流れて僕は中学3年になった。
とうとう今日は全国大会の決勝戦。
ここまで来るにはかなりの苦難を強いられた。
それでも予選から順調に勝ち進み、準決勝で去年の東京大会の準決勝で敗れたB中学とあたり、3対1で勝利した。
去年のリベンジは果たすことが出来た。
予選から準決勝までの試合での僕の平均得点は4点で、合計得点でも全選手中で1位の成績を収めていた。
それは僕だけの力ではなく、月の適切なアドバイスと、チームメイトの頑張りがあってのことだった。
万が一、今日の決勝で1得点もあげることが出来なくても僕は1位でこの大会を終えることになる。
だけど、そんなことはどうでも良かった。
僕の望みは全国大会優勝。
これだけだ。
結菜を全国大会の決勝に連れて行き、優勝する。
これが結菜との約束だ。
だから絶対にこの試合は負けられない。
必ず勝ってやる。
「結菜、見ててくれ。絶対に勝ってくる」
僕はベンチの椅子の上に置かれている結菜の遺影と僕と月が結菜の誕生日プレゼントにあげたジェラートピケのクマの抱き枕に向かって言った。
これらは結菜が亡くなり、僕が練習に復帰することになったその日から、必ずベンチの椅子に置いて僕らを見てもらっていた。
全国大会が始まってからも毎試合、ベンチの中で僕らを応援してもらった。
「行ってくるね」
結菜の遺影とクマの抱き枕を見ながら、僕は拳を握り、天に向かってそれを掲げた。
そして試合は開始した。
・
・
・
・
・
チーム全体の能力も上げることはもちろんだったけど、僕自身のスキルも磨いた。
そのために、地元の大人のサッカークラブに入ってプレーをさせてもらった。
最初は自分よりも身長が大きい人ばかりだったし、力も中学生の僕よりも格段に上で最初は慣れるまで大変だった。
でも、慣れてしまえばなんてことなかった。
次第に僕はその中でも頭角を現しテクニックや試合運びでは誰にも負けないくらいになっていった。
今ではレギュラーメンバーに選ばれて試合にも出させてもらっている。
大人の中でサッカーをプレイすることは本当に勉強になったし、もの凄く良い経験になった。
そして時は流れて僕は中学3年になった。
とうとう今日は全国大会の決勝戦。
ここまで来るにはかなりの苦難を強いられた。
それでも予選から順調に勝ち進み、準決勝で去年の東京大会の準決勝で敗れたB中学とあたり、3対1で勝利した。
去年のリベンジは果たすことが出来た。
予選から準決勝までの試合での僕の平均得点は4点で、合計得点でも全選手中で1位の成績を収めていた。
それは僕だけの力ではなく、月の適切なアドバイスと、チームメイトの頑張りがあってのことだった。
万が一、今日の決勝で1得点もあげることが出来なくても僕は1位でこの大会を終えることになる。
だけど、そんなことはどうでも良かった。
僕の望みは全国大会優勝。
これだけだ。
結菜を全国大会の決勝に連れて行き、優勝する。
これが結菜との約束だ。
だから絶対にこの試合は負けられない。
必ず勝ってやる。
「結菜、見ててくれ。絶対に勝ってくる」
僕はベンチの椅子の上に置かれている結菜の遺影と僕と月が結菜の誕生日プレゼントにあげたジェラートピケのクマの抱き枕に向かって言った。
これらは結菜が亡くなり、僕が練習に復帰することになったその日から、必ずベンチの椅子に置いて僕らを見てもらっていた。
全国大会が始まってからも毎試合、ベンチの中で僕らを応援してもらった。
「行ってくるね」
結菜の遺影とクマの抱き枕を見ながら、僕は拳を握り、天に向かってそれを掲げた。
そして試合は開始した。
・
・
・
・
・
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ファンレター~希望、繋ぐ馬へ~
緋野 真人
ライト文芸
【第10回ネット小説大賞一次選考通過作品】
かつて、縁があったサラブレットにファンレターを送る程、その馬を応援していた優斗は、その馬の初重賞制覇が掛かる一戦をテレビ観戦中、ある病魔に襲われて生死を彷徨う事となる。
一命を取り留めた優斗は、その病気の後遺症で身体に障害を負ってしまい、彼がそんな身体で生きていく事に絶望していた頃、その馬……クロダテンユウも次のレース中、現役続行が危ぶまれる大怪我を負ってしまう。
退院後、半ば自堕落な生活を貪っていた優斗は、リハビリを担当していた言語療法士で、幼馴染でもある奈津美に誘われてクロダテンユウの故郷でもある牧場を訪問、そこで謀らずも、怪我からの復帰のために奮闘する彼と再会する。
そこで、クロダテンユウとその関係者たちの、再起に向けて諦めない姿を知った事で、優斗の苛まれた心は次第に変わって行き、クロダテンユウとその関係者たちもまた、優斗の様なファンの思いに応えようと、有馬記念での本格復帰を目指すのだった。
※…優斗の半生は、病気も含めて筆者の人生を投影した、私小説の意味合いもあります。
尚、『小説家になろう』さんにて、当初書き上げたのが2016年(※現在は削除)のため、競馬描写に登場する設定やレース名などが、現在と異なる点はご容赦ください。
※2022年10月1日より、カクヨムさんでも重複掲載を始めました。
サクラ舞い散るヤヨイの空に
志波 連
ライト文芸
くるくるにカールさせたツインテールにミニスカート、男子用カーデガンをダボっと着た葛城沙也は、学内でも有名なほど浮いた存在だったが、本人はまったく気にも留めず地下アイドルをやっている姉の推し活に勤しんでいた。
一部の生徒からは目の敵にされ、ある日体育館裏に呼び出されて詰問されてしまう沙也。
他人とかかわるのが面倒だと感じている飯田洋子が、その現場に居合わせつい止めに入ってしまう。
その日から徐々に話すことが多くなる二人。
互いに友人を持った経験が無いため、ギクシャクとするも少しずつ距離が近づきつつあったある日のこと、沙也の両親が離婚したらしい。
沙也が泣きながら話す内容は酷いものだった。
心に傷を負った沙也のために、洋子はある提案をする。
他のサイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより引用しました。
東大卒男と中退女~正反対な2人の恋愛譚~
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ライト文芸
高校を中退して、不動産会社で働く笹川舞。
東大を出て、一流商社で働く新田明。
静かで穏やかな雰囲気流れる山あいの田舎で、これまで正反対の人生を歩んできた二人はおよそ最悪の出会いを果たす。
はじめは相容れることのなかった二人だが、どちらも引っ越してきたばかりで友達がいなかったことから、二人は仮の友人となることに。
そしてそのうち、お互いに欠けたものを持つ二人は、互いに惹かれあい補い合っていく。
その出会いにより、変わらないと思っていた平坦な日常が変わっていく。
もうしないと思っていた恋をする。
希望なんてないと思っていた日常に光がさす。
何歳になっても、青春は訪れる。
ほろ苦くも最後に甘くなる、大人のための社会人恋愛小説。
涙間違いなしです。
ライト文芸賞参加作品です。応援よろしくお願いします。
完結保証
【完結】浄化の花嫁は、お留守番を強いられる~過保護すぎる旦那に家に置いていかれるので、浄化ができません。こっそり、ついていきますか~
うり北 うりこ
ライト文芸
突然、異世界転移した。国を守る花嫁として、神様から選ばれたのだと私の旦那になる白樹さんは言う。
異世界転移なんて中二病!?と思ったのだけど、なんともファンタジーな世界で、私は浄化の力を持っていた。
それなのに、白樹さんは私を家から出したがらない。凶暴化した獣の討伐にも、討伐隊の再編成をするから待つようにと連れていってくれない。 なんなら、浄化の仕事もしなくていいという。
おい!! 呼んだんだから、仕事をさせろ!! 何もせずに優雅な生活なんか、社会人の私には馴染まないのよ。
というか、あなたのことを守らせなさいよ!!!!
超絶美形な過保護旦那と、どこにでもいるOL(27歳)だった浄化の花嫁の、和風ラブファンタジー。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる