パパLOVE

三枝快斗

２７７

「かいと…ここ…に…いる…よね？」

「ずっといるよ。朝までずっといるから」

僕は結菜を抱きしめた。

結菜がどこにも行ってしまわないように強く抱きしめた。

「かいと…だい…す…き…だよ。あ…い…して…る。あり…か…と…ね………」

スッ――

腕の中の結菜の力が抜けていくのを感じた。

「結菜っ、ダメだっ。行っちゃダメだっ」

苦しくて切なくて…

胸が張り裂けそうで…

死にたいくらい悲しくて…

どうしようもない程、やるせなくて…

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」

僕も連れて行ってくれよ。

結菜だけじゃなくて僕も連れて行ってくれよ。

結菜の代わりに僕を連れて行ってくれよ。

くそっ何でだよ！

何でなんだよ！

結菜が何をしたっていうんだよ！

結菜は何１つ悪いことなんかしてないじゃないか！

世の中には腐るほど悪人がいて、救いようのない人間がいるのにどうして天使のような結菜が死ななきゃいけないんだ！

「結菜、あかんで。わしらを残して死んでまうなんて許せへんからな。お前は死んだらあかん人やねん。生きなあかん人やねん。何でや！何で結菜が死ななあかねん！ふざけんな！ふざけんな！ふざけんな！あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」

僕らはどれだけ海に向かって叫び続け、泣きわめいていただろう？

気付いた時には辺りは真っ暗で腕の中の結菜は冷たくなっていた。

この日は結菜を病院に運んだあと、父さんのマンションに連れて行かれた。

僕と月を２人にすると何をしでかすかわからないような状況だっただけに仕方のないことだった。

結菜の通夜は土曜日に、葬儀は日曜日に執り行われた。

多くの参列者が来られていた。

学校の先生、同級生、サッカー部の部員、町の人々が何百人と弔問に訪れていた。

そして多くの人が涙を流し、結菜の死を悼んでいた。