パパLOVE

卯月青澄

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「食べるよ、食べればいいんだろ」

「そうや」

「その前に1つだけ聞いてもいいかな?」

「なんや?」

「結菜が僕を好きだってこと知ってたの?」

「あぁ、知ってたで」

「いつから?」

「小3の頃からかな。どっかのアホは5年も一緒におって気づいてへんかったけどな」

「月と僕への接し方は何も変わらなかったのに、どうしてわかったのさ?もしかして結菜から聞いたの?」

「聞く訳あれへんやろ。結菜も気付かれへんようにしとったけど、ところどころボロが出るねんな。気持ちを抑えることが出来へん時もあったんやろうな。まぁ、中学に入ってからは結菜は自分の気持ちを抑えんようになっとったけどな。快斗のそばにいてたいからって、わざわざサッカー部のマネージャーになるなんて健気や思えへんか?ちなみに快斗以外は結菜がお前を好きなことは気づいとったけどな」

「そうだったのか…何て僕は鈍感でバカな奴だったんだ」

「そうやな。確かにお前はアホやな。せやけど、そんなお前をわしも結菜も好きなんや」

「どうしたらいい?」

「自分の胸に聞いてみぃ。気づいたんやろ?自分の気持ちに。せやったら結菜が目覚めたら伝えたったらええ。きっと死ぬほど喜ぶと思うねん」

僕と結菜の1番近くにいた月は僕の気持ちも結菜の気持ちも気づいていた。

そんな僕らを見ていて月はどう思っていたんだろう?

2人の気持ちに気づいて、板挟みにされて嫌な思いをさせてしまっていたのかもしれない。

だから最近、自分は邪魔者だと言って僕らを2人切りにさせようとする場面があったんだ。

「月、僕と結菜の思いに挟まれて嫌な思いをさせたんじゃないかな?」

「は?何言うてんねんな。わしが自分らに気ぃ遣う思てるんか?そんな訳あるか!わしらは3人親友やで。ガキの頃から一緒におった仲やで。嫌やったら今もこうして一緒におる訳あれへんやろ」

「そうだった。変なことを聞いてゴメン」

月は僕よりも全然大人で考え方もしっかりしている。

一緒にいるとその発言とか言葉に驚かされる。

心を打たれ感動することだってある。

きっと月とは一生街の親友でいるんだと心から思った。

「話しはええから、はよ食べてまいな」

それから2人で牛丼を食べた。

涙を流して鼻をすすりながら食べた牛丼は今まで食べたどの牛丼よりも美味しかった。
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