パパLOVE

卯月青澄

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「今日はやめとくで。せっかく無菌室になってるんやから、バイ菌だらけのわしらが入ったらけったいな感染症にかかってまうやろ」

「確かに言われてみればそうだね」

結菜はそう言うとイタズラッぽく笑っていた。

いつもの明るい結菜の笑顔を見てしまうと、病気にかかっているとはとても思えなかった。

「少しは否定してくれてもええんちゃうか?」

「そうした方が良いの?」

「当たり前や。それよりちょい電話せななれへんところがあるから、わしはちょい廊下に行ってくるで」

月は僕の肩をポンと叩くと、廊下に出て行ってしまった。

「快斗、ゴメンね」

「何が?」

「せっかく3人で映画を観に行ったのに、こんなことになって」

「謝らなくていい。僕たちは親友…水臭いことを言うなって。また、元気になったらいつでも行けばいいじゃないか」

「行けるかな?」

「行けるよ。僕が連れて行ってあげるよ」

「だったら海が行きたいな」

「行こう」

話すのがツラくて悲しくて自然と僕の頬を涙が伝って流れ落ちた。

きっとビニールのカーテンが僕の涙を隠してくれてる。

「快斗、そばに来てくれない」

「ダメだろ。この中は無菌室になってるんだから。変な病気に感染したらどうするんだよ」

「私の頼みでも聞いてくれないの?」

「でもさ…」

「こう見えて、私すごく不安なんだよ。怖いの…。こんなビニールカーテンの中に入れられて、色んな検査をして、たくさん薬を飲まされて…何か悪い病気になっちゃってるんじゃないかって…」

「これでいいか?」

僕は涙を拭うと、結菜の言葉を遮るようにカーテンの中に入った。

そして結菜のそばに近づき抱きしめた。
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