パパLOVE

卯月青澄

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「何かようか?」

「あのさ…稲葉さんと少し話をさせて下さい」

この前の態度とは一変して、えらく謙虚な感じで接してきた。

「結菜はお前と話すことなんかないよ」

「言いたいことあるなら俺らに言うたらええ」

「謝らせて下さい。僕がしたことで稲葉さんをずっと苦しめてきました」

「ふざけんな。今さらだろ」

僕は山口の身勝手さに腹が立って2日前のように胸ぐらを掴んだ。

「快斗、やめて」

「結菜…」

結菜は僕の腕を掴んで山口から離すと、正面に立って向き合った。

「何を謝るって言うの?」

「君が僕に告白してフラレたことにしたこと。みんなに君を無視するように言ったこと…」

パシっ――

結菜は山口の頬を思い切り叩くと、涙を流しながら睨みつけていた。

「何で今さらそんなこと言うの?謝られたって私の6年間は戻ってこない」

「本当にごめんなさい。許して下さい」

「許さない!許すわけないでしょ!」

パシッ――

結菜は再び山口にビンタをした。

「許して下さい。ごめんなさい」

更に結菜が手を振り上げて殴りかかったので腕を掴んで制止した。

「離して!」

「もうよせって」

「やめて、離して!」

「これ以上殴っても何もならないだろ」

「黙ってて!コイツのせいで私がどんなにツラくて苦しかったか…それに快斗も月もコイツにケガをさせたんでしょ?私だって殴っちゃったし、私たちここにはもう住めないよ。高校も違うところに転校させられちゃう」

「そのことなら、もう解決したんだ」

「解決した?そんな訳ないでしょ?私たちは山口家を敵に回したのよ」

「結菜、わしから説明するで」

「月、落ち着いてる場合じゃないでしょ?あなただって他人事じゃないんだから」
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