パパLOVE

２５０

朝練も終わり、３人で教室に向かっていると、廊下で山口が女子とお喋りをしている姿が目に入ってきた。

僕らはその姿を横目で見ながら通り過ぎて行った。

「ねぇ、山口くんたち顔に怪我してた」

「それがどうかした？」

「まさかと思うけど…違うよね？」

結菜は何かを感づいたらしく、僕と月の顔を交互に見ては怪しんだ目で僕らを見ていた。

「何だよその目は？」

「山口くんたちと喧嘩したでしょ？」

「するわけないじゃん。なぁ、月？」

「あぁ、するわけあれへん」

「何が原因でケンカなんかしたの？」

結菜の中では僕らが山口と喧嘩したのは確信に変わったようだ。

「・・・・・。ムカついたからだよ」

「せや。いつも女子とちちくりおうて、前から気に食えへんかってん」

「はぁ？そんな理由でケンカしたの？２人ともバカなんじゃないの？信じられない…」

「別にいいだろ。結菜に迷惑かけた訳じゃないんだからさ」

「お互いに喧嘩してケガをさせたことは謝ってこの件はお咎めなしになったんだ」

「それだけで済む訳ないでしょ。あの山口くんに手を出したんだから親が黙ってるはずない。怒らせたら、この街に住めなくなるわよ」

みんな同じこと言うんだな。

改めて山口の父親の力というものを感じざる得なかった。

「もう大丈夫なんだ」

「せや。もうその件も解決してんねん」

「そんな訳ないでしょ。ホント２人ってバカよね」

「ちょっといいかな？」

３人で廊下で話していると、こともあろうか山口たちが声をかけてきた。

結菜は僕と月のうしろに慌てて隠れていた。