パパLOVE

卯月青澄

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「絶対に許さないから。一生許さない」

「うん…」

こうなることは何となくわかっていた。

相川さんも覚悟はしていたと思う。

こればかりは結菜と相川さん2人の問題で、僕らが口を挟むようなことではなかった。

相川さんは肩を落としてゆっくりとドアノブを握って廊下に出ようとした。

「ちはる、許さないけど感謝はしてる。あななたちが無視してくれなかったら私は親友と呼べる人に出会わなかったから。ありがとう…」

結菜が言う親友とは僕と月のことだというのは直ぐにわかった。

「確かに、親友じゃなかったらこんなケガをするまでケンカなんかしないわよね」

「は?何のこと?」

「何でもない。じゃあね、結菜」

「じゃあね、ちはる」

一見、結菜と相川さんは決別したように思えたけど、別れ際には笑顔で手を振っていた。

よくわからないまま、相川さんは帰って行った。


翌朝。

結菜からメールが入ってきた。

《今日から学校行くから。一緒に行こ》

直ぐに月に電話をして、結菜の家まで迎えに行くことにした。

まずは月の家に行って月を拾ってから結菜の家に行き、3人で朝練に向かった。

1時間の練習を終えると、結菜が俺ももとに駆け寄ってきて水筒を手渡された。

例の結菜スペシャルだ。

色は悪いが味はなかなか美味しい。

俺がそれを飲んでいる間、結菜は濡れた冷たいタオルで全身を拭いてくれた。

それが終わると、仕上げにミントの香りのするボディペーパーで体を拭き上げてくれたので、スース―して気持ちが良かった。

周りからはいつものように不満の声があがっていた。

ふと月に目を向けると数人のチームメイトにタブレットを見せながら何かアドバイスをしていた。

月は心臓が悪いためプレーをすることは出来ないけど、サッカーの知識と分析能力、情報収集能力は誰も太刀打ち出来ないくらい研ぎ澄まされていた。

それは小学生の時よりも中学生になった今の方が格段にレベルアップしているし月自身も成長している。

僕自身も月のアドバイスで何度助けられたことか。

人の考え方は様々だし、自分で解決したいという人はいると思うけど、月の助言を素直に受け入れることが出来れば成長と上達の近道になると思う。
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