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何気なくお母さんのうしろに目がいった。
女が持っていた包丁が血だらけで落ちていた。
僕はお母さんを横に寝かすと、ケガをしていないもう片方の腕で包丁を手に取った。
よくも僕のお母さんを…
僕の大好きなお母さんを…
絶対に許さない…
殺してやる…
僕はお父さんと中山さんに取り押さえられている女にゆっくり近づいた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
そして包丁を女に向かって振り下ろした。
グサッ――
初めて人を刺す、死にたくなるような嫌な感触だった。
「えっ」
しかも僕が刺してしまったのは…
「どうして、その女を庇うんだよ」
「ダメだ…そんなことをしたら…」
お父さんは血の気が引いた真っ青な顔をして、力なくそう言った。
「何でだよっ。何でだよっ。わぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
お父さんは泣き叫ぶ僕を、僕が包丁で刺した血だらけの腕で力なく抱きしめてくれた。
救急車と警察が来た時には、お母さんの心臓は止まっており、そのまま永遠に動くことはなかった。
そして、お母さんの死を誰よりも近くで見てしまった香澄は意識を失い倒れた…
犯人の女は父さんの昔からの大ファンで最近は過激な行動が目立っており、事務所が警察に相談してたくらいだった。
ストーカーと化していた。
西島家の自宅も調べ上げてたみたいだし、うちの家族の行動パターンみたいなものも把握していたらしい。
僕のことも香澄のこともお母さんのことも調べ尽くしていたみたいだった。
幸せな結婚生活を送るお父さんをいつしか恨むようになっていった。
でも、その憎しみはお父さんに向けられるのではなく、お父さんの妻であるお母さんに向けられた。
お母さんの体を包丁で何度も何度も突き刺したくらいだから頭がおかしかったんだろうし、かなり強い憎しみを抱いていたに違いない。
結果、女はお母さんを惨殺した。
僕はあの女を一生許さない。
この悲しく残虐極まりない殺人という事件を決して忘れない。
そして自分のせいでお母さんを死なせてしまったお父さんは魂が抜けた死人のような顔をしていた。
あまりの絶望と悲しみからか、お父さんは地面に額を何度も何度も打ち付け顔面は血だらけになっていた。
周りにいた大人たちが数人がかりで押さえつけようとしたけど、お父さんは制止を押し切って額を地面に叩きつけていた。
あまりに酷い光景に集まった野次馬の中にいた若い女性が数人貧血をおこして倒れた。
それから数分後、お父さんは大量の出血のせいで気を失い緊急搬送された。
女が持っていた包丁が血だらけで落ちていた。
僕はお母さんを横に寝かすと、ケガをしていないもう片方の腕で包丁を手に取った。
よくも僕のお母さんを…
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絶対に許さない…
殺してやる…
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「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
そして包丁を女に向かって振り下ろした。
グサッ――
初めて人を刺す、死にたくなるような嫌な感触だった。
「えっ」
しかも僕が刺してしまったのは…
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「ダメだ…そんなことをしたら…」
お父さんは血の気が引いた真っ青な顔をして、力なくそう言った。
「何でだよっ。何でだよっ。わぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
お父さんは泣き叫ぶ僕を、僕が包丁で刺した血だらけの腕で力なく抱きしめてくれた。
救急車と警察が来た時には、お母さんの心臓は止まっており、そのまま永遠に動くことはなかった。
そして、お母さんの死を誰よりも近くで見てしまった香澄は意識を失い倒れた…
犯人の女は父さんの昔からの大ファンで最近は過激な行動が目立っており、事務所が警察に相談してたくらいだった。
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でも、その憎しみはお父さんに向けられるのではなく、お父さんの妻であるお母さんに向けられた。
お母さんの体を包丁で何度も何度も突き刺したくらいだから頭がおかしかったんだろうし、かなり強い憎しみを抱いていたに違いない。
結果、女はお母さんを惨殺した。
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そして自分のせいでお母さんを死なせてしまったお父さんは魂が抜けた死人のような顔をしていた。
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周りにいた大人たちが数人がかりで押さえつけようとしたけど、お父さんは制止を押し切って額を地面に叩きつけていた。
あまりに酷い光景に集まった野次馬の中にいた若い女性が数人貧血をおこして倒れた。
それから数分後、お父さんは大量の出血のせいで気を失い緊急搬送された。
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