パパLOVE

卯月青澄

文字の大きさ
上 下
202 / 475
三枝快斗

202

しおりを挟む
また今年度からもう1人このF高校に入学して来た人がいる。

僕の初恋の相手。

大好きな女性。

名前は白川奈未。

お金持ちのお嬢様でちょっと偉そうなんだけど、それはあの家系に生まれてきてしまった宿命を背負い、プライドを持って生きている証なんだと思ってる。

彼女と初めて会ったのは僕が小学3年生で、彼女は香澄と同じ小学2年生の時だった。

僕と香澄が公園で遊んでいると、キレイな洋服を着たお人形さんみたいに可愛らしい女の子が、召使みたいな若い男性を連れてやって来た。

遊びたそうにこちらを見ていたので、誘うかどうか迷っていると執事の男性に声をかけられた。

そして執事は「お嬢様があなたがたと遊びたいらしいので、遊んであげてはもらえないでしょうか?」と声をかけられた。

そういう理由もあって、彼女を遊びに誘ってみると最初は嫌な顔をしていたけど、結局一緒に遊んだ。

彼女は滑り台もブランコも乗ったことがないらしく、想像以上に楽しんでくれた。

そして帰り際に「私はもの凄いお金持ちのお嬢様でやることが沢山あって忙しい」と言っていた。

やはり服装からしても話し方からしても、普通の女の子ではないことはわかっていた。

生きる世界が違う人なんだと思った。

身分の違いさえ感じざる得なかった。

それでも僕は彼女に会いたかったし、また一緒に遊びたいと思った。

だからまた遊ぼうと誘った。

すると彼女は「そこまで言うなら遊んであげてもいいわよ」と返してきた。

そこまでと言うほど誘ってもいないのだけど…。

きっと彼女はプライドがとても高く、素直になれない性格で意地っ張りなところがあるのかもしれない。


それから毎週日曜日になる度に、奈未ちゃんは執事の柊木さんを連れて公園にやって来た。

そして日が暮れるまで一緒に遊ぶ時もあった。

いつからかはわからないけど、僕は彼女に惹かれ好きになっていた。

人を好きになったことが1度もなかった僕はそれが恋だとわかるまで時間を要した。

でも、何をしていても彼女のことばかり考えてしまうし、会いたくて仕方なかった。

日曜日になるのが死ぬほど待ち遠しかった。

会えた時は嬉しくてドキドキして、時間が止まってしまえばいいとさえ思えた。

1つだけ気がかりなことがあった。

それは香澄のことだ。

僕が奈未ちゃんを好きになればなるほど、香澄は彼女に対して憎しみが増大しているように感じた。

いつかとんでもないことが起きそうで怖かった。

こんなことを言うと良く思わない人がいるかも知れないけど、香澄は僕のことが大好きだった。

大好きと言う簡単な言葉では言い表せないほど僕が好きで仕方なかったようだ。

兄としてではなく、1人の男性として僕を愛していた。

愛しているからこそ、僕が奈未ちゃんに惹かれ恋をしているのに気付いたのかも知れない。

僕も香澄のことが大好きだし愛しているけど、それはどこまでいっても妹としてだった。


奈未ちゃんが日曜日の公園に遊びに来るようになって3か月が経った。

そしてあるサッカーの練習試合を境に、僕と奈未ちゃんの距離は急速に縮んでいった。

特に奈未ちゃんの方が積極的に僕を誘ってくれたので、奈未ちゃんと一緒にいる時間が格段に増えた。

具体的には奈未ちゃんは学校が終わる頃に僕の小学校まで迎えに来て外に連れ出してくれた。

デパートに行ったり、映画を観に行ったり、食事に行ったりもした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...