パパLOVE

卯月青澄

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すると妹は迷うことなく女性のあとについて行った。

女性はと言うと、アパレルショップを何件かまわってから、セレブ御用達の高級ブランドの洋服を買っていた。

それから女性が下のフロアに行くためにエスカレーターに乗ろうとすると、とうとう妹が動き出した。

間違いない。

妹は私の時と同じように突き飛ばして転落させようとしている。

妹は女性の背後に立つと、背中を押そうと手を伸ばした。

でも私の妹の手を掴むタイミングの方が若干早く、妹の暴挙を止めることが出来た。

「パシっ」

私の手を力ずくでフリ解こうとしていたので、私は妹の目を覚まさせるために、思い切り右頬にビンタをした。

「何すんのっ」

妹は私に向かって大声で怒鳴りつけてきた。

でも、私の顔を見ると信じられないと言ったような驚きの表情をしていた。

「他の人の邪魔になるからこっちに来なさい!」

私たちのうしろにエスカレーターに乗る人たちが並んでしまったので、妹の手を引っ張って、ひとけのない所まで無理やり連れて行った。

「離して!あなた何なの!」

「静かになさい!あなた、自分が今何をしようとしてたかわかってるの?」

「何って…」

「女の人をエスカレーターから突き落とそうとしてたわよね?」

「・・・・・」

私の言葉に驚いたようで、妹は黙り込んでしまった。

「もしそんなことをしたら、あの女の人ただの怪我じゃ済まなかったわよ。あなたホントにバカなんじゃないかしら」

「あの女…殺してやろうと思った。パパにちょっかいだしてるから」

「だと思ってた。下駄箱であなたが話しているのが耳に入ってきた。まさかと思って学校からあなたのあとをずっとついて来ていたのよ。正解だったわ」

「だからって私が何かをするなんてわかりっこないでしょ?」

「わかるわよ。あなたは憶えていないようだけど、私はあなたに、あなたがあの女性にしようとしていたことと同じことをされたんだから」

私の言葉を、最初は信じていないようだったけど、話していくうちに妹は何かを思い出したような顔をしていた。
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