パパLOVE

卯月青澄

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更に数年が経った。

今日は高校の入学式。

私は今日から都内にあるF高に通うことになっていた。

F校は私のようなお金持ちのお嬢様が通うような名門の女子校ではなく、都内にあるそこそこ名の知れた普通の一般庶民が通うような高校だった。

なぜ私のような選ばれた人間がこんな普通の高校に入学するのを決めた理由は1つしかなかった。

それは彼がF校の学生だから。

私は彼と同じ高校に行くためだけにF高に入学を決めた。

それ以外に理由なんてない。

彼は私が入学してくると同時にF校の2年になる。

彼がそもそもF高に入ったのは中学時代のサッカーの実績が認められて、特待生として入学したという理由があった。

F高と言えば毎年全国サッカー大会でベスト3に入るような強豪校だった。

そんなF高に推薦枠で入学した彼は授業料もろもろが免除されるという特別待遇を受けていると聞いている。

確かに彼の中学時代のサッカーの活躍は余りにもスゴすぎて目を見張る物があった。

過去毎年、県大会予選落ちだった弱小チームをキャプテンでエースの彼が全国大会のベスト5まで導いた。

彼がいなかったら、この結果はまず果たせなかったに違いない。

それに、個人プレーだけ見れば、彼は日本代表に選ばれてもおかしくないほどの実力を兼ね備えているとサッカー好きの柊木は言っていた。

また、サッカー雑誌に取り上げられたこともあって、中学生ながらにして女性ファンが何十何百人数はいると話題になっていた。

彼が人気者になるのは嬉しいし鼻が高いけど、ライバルが増えるのはおもしろくない。

もちろんF高に入学したいと親に持ちかけた時は当然の如く反対された。

でも、これだけは譲れないものがあった。

ここ数年は親の言うことだけに従って色んなことを我慢してきた。

だから、彼と一緒の高校に行くことぐらい許されないなら家をでるつもりだった。

そのことを父に話したら条件付きで了承を得ることが出来た。

その条件とは…

とにかく来年からは彼と同じ高校に入り、高校生活を送ることが出来る。

こんな幸せなことがあるだろうか?

確かに、彼のことはずっと写真や映像を通して見てきたし、彼のことなら知らないことはないくらい、莫大な情報が今もLから送られてきている。

彼の成長を誰よりも見続けてきたのは彼の家族と私くらいなものだ。
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