パパLOVE

卯月青澄

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アメリカに来て4年が経ち、私は中学生になった。

その間、日本には年に数回帰る程度だった。

彼には会っていない。

会っていないけど、彼のことなら何でも知っている。

なぜなら、私がアメリカに来てから、ずっと彼の情報が柊木を通して私に入ってきていたから。

それに彼の映像や写真が毎週のように私のスマホに送られてきているから。

彼の学校での日常の1コマからサッカーをしている彼や友達と出掛けている彼、勉強をしている彼、小学校の卒業式の彼、中学校の入学式の彼、中学生になってサッカー部に入って活躍している彼の姿がずっと送られてきていた。

「柊木、この動画と写真は一体誰が撮ってるの?」

「それは極秘です。秘密にするということを条件に雇っています。ちなみにその人物のことを、私どもはLと呼んでいます」

彼の映像や写真は余りにも自然すぎた。

撮られていることがわかっているのに彼は嫌な顔を一つせずに撮られ続けていた。

時にはカメラに向かって話しかけている時もあった。

こんな映像を撮れる人間がいるとすれば彼の友達…彼の彼女…彼の家族以外に考えられない。

「彼女じゃないわよね?」

「三枝様に彼女はいません」

「だったらいいわ」

彼女じゃなければ別に誰でもいい。

気にはなるけど、とりあえず今までのように映像や写真を送ってくれさえすれば構わない。

「その人に追加で依頼をお願いしてくれるかしら」

「依頼とは何でしょうか?」

「彼にちょっかいを出してくる女がいたら邪魔をするように言ってちょうだい」

「大丈夫だと思いますよ」

「何の根拠があってそんなことを言ってるのかしら?」

「それはですね…Lの情報ですと三枝様は女性には余り興味がないらしいです」

「あらそう。年頃の男子が珍しいわね」

とは言ったものの、嬉しくて心の中ではガッツポーズをとっていた。

「今度、Lに合わせて欲しいわ」

「今はまだ時期尚早でございます。その時が来たら直ぐにでもお嬢様にご紹介させて頂きます」

「わかったわ」

柊木が言う“その時”とは何かが起こるタイミングということなのだろうか?

今はまだ早くて時が来たらとは意味がわからない。
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