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白川奈未
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「ひっ‥ひいらぎ…」
「お嬢様っ」
柊木の私を呼ぶ声が近づいてくるのがわかった。
打ち付けた頭に違和感を感じたので触れてみると、手には赤い液がベットリとくっついた。
えっ…
血?
私…死ぬの?
私の人生は…ここまでなの?
「お嬢様、しっかりして下さい。お嬢様っ」
柊木は私のもとまで駆け寄ると、頭部にハンカチを押し当てて抱きかかえてくれた。
横を向くと、膝から地面に崩れ落ちて呆然としている彼の姿が目に写った。
柊木は私を抱えたまま電話をしていた。
救急車を呼んでいるようだった。
「お嬢様、直ぐに救急車がやって来ます。もう少しの辛抱です」
「ひいらぎ…私死ぬの?」
「お嬢さまは死にません。私の命に変えてもお嬢様をお救いします。だから安心して下さい」
柊木の目から涙が流れ落ち、私の顔に雨のようにポツポツと降り注いできた。
それから薄れゆく意識の中で遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。
・
・
・
・
・
・
目を開けると白い天井が目に入ってきた。
体を起こそうとしたけど、体のあちこちが痛くて起き上がれなかった。
しかも頭もガンガンして痛い。
ここが病院のベッドの上だというのは直ぐにわかった。
何で私の体がこんなことになっているのかも思い出した。
そう…私は滑り台の上から彼の妹に突き飛ばされて転落したのだ。
今考えただけでも恐ろしかった。
どれだけ私を恨んでいたのだろう?
どれだけ私を殺したかったのだろう?
妹の最後に発した「なみちゃん、うざい。死んで…」が頭から離れなかった。
思い出しただけでも体が震え、鳥肌が立ってきた。
横を向くと柊木が目を閉じて眠っていた。
一体今は何時なのかしら?
「柊木…」
「おっ‥お嬢様…意識が戻られたのですね?」
「何とか生きてるみたいね」
「良かった。本当に良かった」
柊木は私を抱きしめると体を震わせ泣いていた。
「お嬢様っ」
柊木の私を呼ぶ声が近づいてくるのがわかった。
打ち付けた頭に違和感を感じたので触れてみると、手には赤い液がベットリとくっついた。
えっ…
血?
私…死ぬの?
私の人生は…ここまでなの?
「お嬢様、しっかりして下さい。お嬢様っ」
柊木は私のもとまで駆け寄ると、頭部にハンカチを押し当てて抱きかかえてくれた。
横を向くと、膝から地面に崩れ落ちて呆然としている彼の姿が目に写った。
柊木は私を抱えたまま電話をしていた。
救急車を呼んでいるようだった。
「お嬢様、直ぐに救急車がやって来ます。もう少しの辛抱です」
「ひいらぎ…私死ぬの?」
「お嬢さまは死にません。私の命に変えてもお嬢様をお救いします。だから安心して下さい」
柊木の目から涙が流れ落ち、私の顔に雨のようにポツポツと降り注いできた。
それから薄れゆく意識の中で遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。
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目を開けると白い天井が目に入ってきた。
体を起こそうとしたけど、体のあちこちが痛くて起き上がれなかった。
しかも頭もガンガンして痛い。
ここが病院のベッドの上だというのは直ぐにわかった。
何で私の体がこんなことになっているのかも思い出した。
そう…私は滑り台の上から彼の妹に突き飛ばされて転落したのだ。
今考えただけでも恐ろしかった。
どれだけ私を恨んでいたのだろう?
どれだけ私を殺したかったのだろう?
妹の最後に発した「なみちゃん、うざい。死んで…」が頭から離れなかった。
思い出しただけでも体が震え、鳥肌が立ってきた。
横を向くと柊木が目を閉じて眠っていた。
一体今は何時なのかしら?
「柊木…」
「おっ‥お嬢様…意識が戻られたのですね?」
「何とか生きてるみたいね」
「良かった。本当に良かった」
柊木は私を抱きしめると体を震わせ泣いていた。
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